008 ニューワールド ページ8
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それから、本当に８年前の世界にやってきたわたしは、ユウリが用意してくれたアパートで暮らし始めた。
ユウリ｢行きたいところってどこなの？｣
｢ニューワールド。｣
ユウリ｢ニューワールド？｣
｢遊園地だよ。８年前に閉園しちゃったの。｣
ユウリ｢フーン。経営難とか？｣
｢うーん、わかんない。まあ小さい遊園地だからね。８年後の世界では、ショッピングモールの予定地になってる。｣
ユウリ｢そっか、思い出の場所なの？｣
｢ううん。行ったことないの。子どもの頃からの夢だったんだけど。夕方には閉まっちゃう遊園地だから、大人になってからもずっと行けなくて。｣
ユウリ｢じゃあ行かないとね。｣
｢そこに行けたらもう満足かな。すぐに帰ってもいいくらい。｣
ユウリ｢そんなこと言って。きっと帰りたくなくなるよ。｣
｢そうかな？まあせっかく来たんだし、めいっぱい楽しんでいくよ。こっちの世界で誰かと恋に落ちたりして。ふふふ。｣
ユウリ｢やめたほうがいいよ。後でつらくなるから。｣
｢冗談だってば。それにしても肌のハリが全然違うよ。ほんとに高校生なんだね！｣
鏡の前でルンルンなわたしに、ユウリは少し呆れ気味だった。
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・
こうして始まったタイムスリップ。わたしは転校生として近くの高校に入学し、そこで出会った彼と付き合い始めた。未来から持ってきた空白だらけだった日記は、彼との思い出ですぐにいっぱいになった。
あれから半年。
今はひとり、ベッドでその日記を見返している。
楽しかったデートも、高校生活も、大貴くんが好きでたまらない気持ちも。
自分の字を見るだけで、楽しかったことが伝わってくる。ああだめだ。また涙が出る。涙の粒がぽたぽたと日記に零れ落ち、文字が滲んだ。
明日はイブだというのに。
前日にこんな別れ方をするカップルがどこにいるというのか。突然別れたいだなんて。最後くらい大好きだと伝えたかったけど、未来でも彼を覚えているためだ。
楽しかったこの日々を、いつか思い返すため。そう自分に言い聞かせて、涙も乾かないままに目をつぶった。
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いく(プロフ) - パレードが始まるが頭の中に流れました！！ステキなお話をありがとうございます。 (2020年8月9日 10時) (
レス) id: bf142477e0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ - むぎさんの作品まじで大好きです。何億回でも読めます。 (2020年3月24日 22時) (レス) id: 62a0eb8cec (このIDを非表示/違反報告)
じゃん - 受験終わったあとの楽しみにしてて、今日読み終わりました。相変わらずむぎさん最高すぎます。大好きです。 (2020年3月24日 22時) (レス) id: 2c5e964fc3 (このIDを非表示/違反報告)
梨(プロフ) - 好きすぎました！！めちゃくちゃ泣いたしめちゃくちゃドキドキしたし有岡くんが有岡くんで、このお話大好きです！ (2020年3月14日 16時) (レス) id: d970aa184c (このIDを非表示/違反報告)
ねこ。(プロフ) - 完結おめでとうございます！めちゃくちゃ幸せでした！またいつか機会があれば、未来に戻ってから結婚までのお話も気になるので、読めたら嬉しいな〜と思いました！ (2020年1月1日 13時) (レス) id: f99e88b778 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むぎ
| 作成日時：2019年12月1日 12時
