007 ドラマみたいな話 ページ7
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彼はユウリと名乗った。
男性にしては小柄で、女の子みたいな可愛らしい顔立ちをしている。その割に、時々小悪魔的な笑顔で毒を吐くから恐ろしい。
研究員だという彼は、こんなドラマみたいな話を真面目な顔つきでペラペラと語った。
「……本気で言ってる?」
ユウリ「当たり前でしょ。」
「そんな賭けみたいなことしたくないよ。まだ死にたくないし。」
ユウリ「大丈夫。僕も行くから。」
「え?」
ユウリ「タイムスリップには、研究員も同行することになってるんだ。向こうではAにしか見えないけどね。」
「途中で帰りたくなったらどうするの?」
ユウリ「もちろんいつでも戻ってこられるよ。でも心配してるのはそっちじゃない。」
「え?」
ユウリ「逆だよ、逆。」
逆………?
ぽかんとしていると、まあそんなことより、とすぐに話を逸らされてしまった。彼の巧みな口車に乗せられて、数分後には首を縦に振ってしまっていたわたし。
ユウリ「何年前に行きたい?」
「8年前、かな。」
ユウリ「何かしたいことがあるの?」
「うん。行きたいところがある。」
ユウリ「わかった。じゃあ8年前ね。期限は半年。今日が6月24日だから……12月24日だね。期限は伸ばしたりできないから覚えておいて。あと、タイムスリップのことは誰にも言っちゃだめ。これはルールだから。どんなに仲良くなった人でも、絶対ね。それから、」
最後に、ユウリがわたしの目をじっと見た。
ユウリ「タイムスリップが終わったら、Aに関わった人すべてから、Aに関する記憶は消えるから。」
………、そうなんだ。
「わたしの記憶は、戻ってからも残るの?」
ユウリ「ルール違反しなければね。」
にこっと笑ったユウリが、少し怖かった。
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いく(プロフ) - パレードが始まるが頭の中に流れました!!ステキなお話をありがとうございます。 (2020年8月9日 10時) (レス) id: bf142477e0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ - むぎさんの作品まじで大好きです。何億回でも読めます。 (2020年3月24日 22時) (レス) id: 62a0eb8cec (このIDを非表示/違反報告)
じゃん - 受験終わったあとの楽しみにしてて、今日読み終わりました。相変わらずむぎさん最高すぎます。大好きです。 (2020年3月24日 22時) (レス) id: 2c5e964fc3 (このIDを非表示/違反報告)
梨(プロフ) - 好きすぎました!!めちゃくちゃ泣いたしめちゃくちゃドキドキしたし有岡くんが有岡くんで、このお話大好きです! (2020年3月14日 16時) (レス) id: d970aa184c (このIDを非表示/違反報告)
ねこ。(プロフ) - 完結おめでとうございます!めちゃくちゃ幸せでした!またいつか機会があれば、未来に戻ってから結婚までのお話も気になるので、読めたら嬉しいな〜と思いました! (2020年1月1日 13時) (レス) id: f99e88b778 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぎ | 作成日時:2019年12月1日 12時