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84. ページ39









「……しっかし、あれは驚いたねぇ」





辺りが闇に支配されつつある夕刻。

夕陽が差す探偵社に、二人の人影が有った。





「……何がだ」




相棒の太宰の呟きに、書類整理をしていた国木田が反応する。





「…あの子。深雪ちゃんだよ」






この日、

国木田と太宰は今担当している「水曜日の爆弾魔」事件の調査の為、高校に出向いた。

其処で、目を疑うような光景を目にしたのだ。





「皮肉だね。爆弾魔事件で彼の人……


佐々城さんにそっくりな子と関わるなんてさ」



「……………」






________佐々城(ささき)信子(のぶこ)


以前探偵社が解決した《蒼の使徒》事件の首謀者である女性。

頭が良く美しい女性だが、

その頭脳を利用して死亡した恋人である《蒼王》の為、探偵社への復讐を計画していた。


……そして、その事件の解決に伴い、命を落としている。






「……俺も驚いた。最初は彼女本人かと思ったくらいだ」





書類整理の手を止め、目を伏せる国木田。


国木田にとって、信子は単なる過去の事件の犯人ではない。






「…………未だ、俺は前に進めていないのかもな」






そう呟いた国木田は、手元にある「理想」と書かれた手帳を見詰める。





「……………」





険しい顔の国木田を向かいの机から見詰めた太宰は、その視線を窓の外へと移した。



完全に日が沈んだ空は、藍色がその殆どを支配している。






「………………そうだね」








そう太宰が呟いた言葉は、静かな探偵社に響くだけだった。






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麦子(プロフ) - Aliceさん» すみません、ご指摘ありがとうございます! (2018年1月13日 16時) (レス) id: 564537986a (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - 毎度楽しく読ませて頂いております。profileの最後、湊かなえさんの作品が「花の鎖」ではなく「八月の雪」になってますよ (2018年1月13日 15時) (レス) id: 9007c89a5c (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - 美玲さん» はい私もおかしいと思ってました笑 右腕だけを絡ませた事にしておきます笑 (2017年12月6日 17時) (レス) id: 564537986a (このIDを非表示/違反報告)
美玲 - すごく余計な事かと思うのですが、50話の”彼の右腕に自分の腕を絡ませれば”の部分、主人公は左腕を怪我しているので、右腕に腕をからませえば、左右どちらでも中也さんの服に血がついてしまうのではないでしょうか?(マフィアは気にしないと思いますが) (2017年12月6日 13時) (レス) id: 11b58ea605 (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - 紫 LizZ(カレーの妖精愛してる)さん» わーありがとうございます!頑張ります! (2017年12月4日 23時) (レス) id: 7a9f7e3baa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:麦子 | 作成日時:2017年10月1日 20時

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