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────若者の街、シブヤ。
ポップな色調で彩られた街は、今日も多くの人が行き交う。
年齢も職業も性別も違う人でごった返すこの街では、よく面倒な事が起こる。
「ねえ、今から暇?俺らとお茶しない?」
「用事があるので結構です」
「君すっごい可愛いよね〜モデルか何か?」
交差点で信号待ちをしていたAと聖羅は、今まさにその面倒事に遭っていた。
先程からチャラチャラした見た目の男2人組が、しつこく聖羅に絡んで来るのだ。
全くこちらの話を聞かない彼らに聖羅は「話を聞け」と小さく舌打ちした。
その隣にいるAは、彼女の本性が出かけている事に苦笑している。
「……はぁ。A、信号が青になったらお願い」
『りょーかい』
全ての怒りを何とか飲み込んだ聖羅は、隣のAにそう言い何故か髪の毛をまとめ始めた。
少女2人の間で交わされた言葉の意味が分からず、ナンパ男達は?を浮かべる。
そして聖羅が髪の毛をまとめ終えたその時、タイミングよく信号が青に変わった。
「…それじゃ、私達はこれで」
「も〜つれないなぁ、ただお茶するだけで良いから…」
相変わらず諦めの悪い男である。
立ち去ろうとする聖羅を逃すまいと、その肩に手を伸ばした。
が、次の瞬間。
『気安く触んないでくれます?』
すっと横から割り込んだAが、バチンッとその手を素早く弾く。
そして、これまた素早い動作でナンパ男Aに足払いを決めた。
もちろん無防備だった男Aは、バランスを崩し地面に尻餅をつく。
『行くよ!』
「うん!」
何が起こったのか分からないでいる男Aと立ち尽くすBを残し、2人は手を取り合い交差点へと駆け出す。
後ろで怒鳴り声が聞こえた気もしたが、それはすぐに街の喧騒にかき消された。
「ふー……毎度のことながら本当助かるわ」
しばらく走った後、2人は一旦落ち着く為に入った店で息を吐いた。
運ばれて来たお冷を飲み干し、聖羅は下敷きでパタパタと汗の滲んだ顔を扇ぐ。
『良いのよ、私は聖羅のボディガードだから』
「わあ、Aってばイケメン」
彼女達にとって、今日の様な出来事は良くあること。
大抵は聖羅が絡まれて、Aが相手を蹴散らしてその内に逃げる、というパターンだ。
約10年の付き合いなので、毎回2人の息はピッタリである。
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麦子(プロフ) - いまづきさん» ありがとうございます。頑張ります(*^^*) (2018年12月6日 18時) (レス) id: 7a9f7e3baa (このIDを非表示/違反報告)
いまづき(プロフ) - 早く続きが読みたいですね! 応援してます! (2018年12月5日 23時) (レス) id: 14b35c0538 (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - すらいみーる@元もちづきさん» リクエストありがとうございます…!了解しました! (2018年11月26日 18時) (レス) id: 7a9f7e3baa (このIDを非表示/違反報告)
すらいみーる@元もちづき(プロフ) - リクエストなんですが、主人公ちゃんと二郎が二人っきりでいちにいが帰ってくるまで留守番するお話読んでみたいです…!! (2018年11月25日 23時) (レス) id: 3b52443fef (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - 錐さん» ありがとうございます。とても嬉しいです。 (2018年11月23日 23時) (レス) id: 7a9f7e3baa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麦子 | 作成日時:2018年9月22日 11時