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久々に気になる子を見つけた。
初めて見た時は「この子にモデルができるのかな?」と思った。
一郎には悪いけど、ぱっと見はそんなに向いてないような気がしたんだ。
───でも、そんな考えは一瞬で吹き飛んでしまった。
『よろしくお願いします、飴村さん』
「………」
嘘だろ。
って思わず素の声が出るところだった。
危ない危ない…
だってさ…何これ。
聞いてないんだけど?
『わあ、可愛いですねこのワンピース』
目の前にいるのは、そこら辺のモデルとか女優なんて鼻で笑えるレベルの美人だった。
……まじでどういう事?
マスク取ったらこんな美人とか、眼鏡してる地味な女の子が実は超美人でした、みたいな奇跡が起きてるよ。
ピンチヒッターで留めるには惜しいくらいの原石だよ!?
『飴村さん?』
「あ、ごめんね!
じゃあこの衣装着てね、着替えたらメイク室に移動するから」
おっと…僕としたことが思わず見惚れてた。
慌てて取り繕って、部屋を出る。
小首を傾げる彼女は、殺人的な可愛さを発揮していた。
計算なの?天然なの?
まあどちらにしても破壊力満点な事には変わりないんだけど。
久し振りに動揺させられたな、と何故か少し悔しく思う。
着替えてる間スタッフと打ち合わせをする為、一旦その場を離れた。
そして一通り段取りも済み、再び戻って来た時。
『あの、困ります』
「まあそう言わずに、連絡先交換するだけでいいからさ」
『嫌です。離してください』
「そんな顔しないでよ〜でも怒った顔も可愛いね♡」
白いワンピースを着た後ろ姿が、スタッフらしき男に捕まっているのが見えた。
あの顔には見覚えがある。
彼は確か舞台設置の班にいたはず。
でも以前、執拗くお姉さん達にナンパをしてたから厳重注意を受けたと思うんだけど…
全く、本当に懲りない人だなぁ。
もう次からは出禁決定。
ていうか手掴んでるし、そのうち痴漢として逮捕されそう。
あの子を助けに行くべく、止めていた足を前に出しかけた、
その時だった。
『────いい加減にして』
酷く不機嫌そうな声がしたと思えば、次の瞬間には男の体は宙に浮いていた。
ダァン!
派手な音を立てて男の背中が床につく。
「……へ?」
何が起こったのか分からなかった。
ただ一つ、
「この子は只者じゃない」
という事だけは理解できた。
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麦子(プロフ) - いまづきさん» ありがとうございます。頑張ります(*^^*) (2018年12月6日 18時) (レス) id: 7a9f7e3baa (このIDを非表示/違反報告)
いまづき(プロフ) - 早く続きが読みたいですね! 応援してます! (2018年12月5日 23時) (レス) id: 14b35c0538 (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - すらいみーる@元もちづきさん» リクエストありがとうございます…!了解しました! (2018年11月26日 18時) (レス) id: 7a9f7e3baa (このIDを非表示/違反報告)
すらいみーる@元もちづき(プロフ) - リクエストなんですが、主人公ちゃんと二郎が二人っきりでいちにいが帰ってくるまで留守番するお話読んでみたいです…!! (2018年11月25日 23時) (レス) id: 3b52443fef (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - 錐さん» ありがとうございます。とても嬉しいです。 (2018年11月23日 23時) (レス) id: 7a9f7e3baa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麦子 | 作成日時:2018年9月22日 11時