35. ページ38
・
家に帰ってから、あれこれ考えた。
何故私にくれたのかは謎だけど、素人目に見ても高価なものだと分かる物だし、これはありがたく貰っておく事に決めた。
実際に付けるのはちょっと気が引けるから、大切に保管しておこうと思う。
今度会った時はきちんとお礼を言おう。
…そして、きっと聖羅に質問攻めにされるであろう月曜日がやって来た。
「……さて、洗いざらい吐いてもらうわよ」
『吐くって…別にそんな特別変わった事してないけど』
学校に着くなり連れて来られた屋上で、ギラギラと目を光らせる親友に呆れた顔をする。
私がそう言えば、聖羅はキッと目を鋭くした。
「絶対嘘!あの碧棺左馬刻が番号聞いてくるなんて絶対普通じゃないもん!」
『そうなの?』
「いや本当の事は知らないけど…でも!乱数ちゃんなら兎も角、左馬刻様は絶対そんな事軽々しくしないと思うの」
TDDを追って来たから分かる、と言う聖羅。
確かに彼らの事は彼女の方がよく知っている。
でも…そうなると益々分からなくなる。
『…じゃあ、何で私の番号なんて聞いたんだろう』
あのイヤリングだってそう。
ずっと考えても分からなかった事なんだけど、
どうしてそんなに私に関わってこようとするのだろうか。
「……あんたそれマジで言ってる?」
『え?』
「はあ…分かってないか……だよね、Aだしね」
『あ、チャイム』
聖羅が何か呟いた時、丁度チャイムが鳴って何を言っていたかは聞き取れなかった。
やっぱりここだとスピーカーが近くてちょっとうるさい。
聖羅に何て言ったのか聞き返すと、「Aはそのままで良い」と何故か肩を叩かれた。
ちょっと意味が分からない。
「ま、自然体のAが一番良いよって事」
『ありがとう?』
「よし、じゃあ左馬刻様と何を話したか教えて」
『まだ聞く気か』
「当然でしょ!」
『授業始まるけど』
「サボる」
『おい優等生』
ここまで来ると執念すら感じる。
断固として譲らないようだ。
この子の頑固さは幼い頃から一緒にいる私が一番良く分かっている。
ここは話した方が良いだろう。
『……はあ、分かった。話す』
観念してそう言うと、聖羅はぱあっと顔を明るくした。
…全く、私もこの顔に弱いのかもな。
・
1836人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
麦子(プロフ) - いまづきさん» ありがとうございます。頑張ります(*^^*) (2018年12月6日 18時) (レス) id: 7a9f7e3baa (このIDを非表示/違反報告)
いまづき(プロフ) - 早く続きが読みたいですね! 応援してます! (2018年12月5日 23時) (レス) id: 14b35c0538 (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - すらいみーる@元もちづきさん» リクエストありがとうございます…!了解しました! (2018年11月26日 18時) (レス) id: 7a9f7e3baa (このIDを非表示/違反報告)
すらいみーる@元もちづき(プロフ) - リクエストなんですが、主人公ちゃんと二郎が二人っきりでいちにいが帰ってくるまで留守番するお話読んでみたいです…!! (2018年11月25日 23時) (レス) id: 3b52443fef (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - 錐さん» ありがとうございます。とても嬉しいです。 (2018年11月23日 23時) (レス) id: 7a9f7e3baa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:麦子 | 作成日時:2018年9月22日 11時