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その後のことはどれも断片的な記憶で。
唯一、覚えているのはAが斬られた瞬間、
僕の頬を濡らした
あのどろりとした生温かい血。
酔っ払いは自分が犯した罪の重大さに気づいて逃げるように僕らの前から消えていった。
どうやって自分が傷を負ったAを運んだのかすら覚えていない。
幸い傷口は浅く、命に別状はなかったが、
Aは高熱にうなされて寝込んでいた。
屋敷の人が寝静まった真夜中、
こっそりAが寝ている部屋に忍び込む。
熱が出ているせいか、
いつもより呼吸が荒いAを見ると
胸が一層、締め付けられる。
Aの小さな手をぎゅっと握りしめると、
Aはゆっくりと瞼を開けた。
「真冬・・・怪我、してない？」
自分が大怪我をして、苦しいはずなのに、
他人の心配をするお姫様。
「うん。」
「よかったあ・・・。」
ニコリ、と微笑んで
安心したのか再び寝息を立て始めた。
鬼の子、と呼ばれて以来、
人の優しさに触れたのは初めてで、
気がつけば、涙が頬を伝っていた。
僕が絶対、守るから。
Aの小さな手を強く、強く握って誓った。
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麦(プロフ) - 此花さん» ありがとうございます！両作品とも見て頂いているなんて・・・嬉しい限りです！（涙） (2018年2月22日 10時) (
レス) id: 05358902b3 (このIDを非表示/違反報告)
此花 - ヤンキー君とお嬢様 から来ました。このお話もとっても素敵で続きが待ち遠しいです。楽しみにしています。 (2018年2月22日 0時) (携帯から) (レス) id: ec1574e89f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：麦 | 作成日時：2018年2月18日 23時
