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今晩の二人のことを考慮してなのか、人の気配がない屋敷。




廊下を走る僕の音がやけに響く。





一番奥の部屋の襖を勢いよく開けると、



着物を乱したAが座っていた。






「ま、ふゆ」






僕の名前を呼ぶより早く、力いっぱい抱きしめる。




抱きしめたAの身体はずっと華奢で。




ああ、もっと早くこうやって抱きしめてあげたかった。








「・・・私、傷があるからお嫁になれないんだって、」





泣かないで、そう言う代わりに



白い頬に伝うAの涙を



舌で舐めて掬い取る。






「この傷は私の誇りなのに。


だって、真冬を守った証だもの。」






僕の服をぎゅっと掴んで、



悔しい、と肩を震わせて泣くお姫様。







僕の為に泣くその姿がいじらしくて。








「A、好きだよ。」







心の奥底にしまって、



伝えてはいけないとわかっていた言葉。







それでも10年間、ただAだけを想っていた。








「ねえ、真冬。」









目に涙を溜めて、僕を見つめる愛しいお姫様。









「・・・お願い。私を、抱いて」

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(プロフ) - 此花さん» ありがとうございます!両作品とも見て頂いているなんて・・・嬉しい限りです!(涙) (2018年2月22日 10時) (レス) id: 05358902b3 (このIDを非表示/違反報告)
此花 - ヤンキー君とお嬢様 から来ました。このお話もとっても素敵で続きが待ち遠しいです。楽しみにしています。 (2018年2月22日 0時) (携帯から) (レス) id: ec1574e89f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年2月18日 23時

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