@04《嫁の過去》 ページ23
彰兄さんの墓参りに行った日は決まって寝られない。
それは今夜も例外ではなく、隣の部屋から聞こえてくる
銀時のいびきを耳に、昔のことを思い出していた。
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『飲み屋のネェちゃん達が、近所に人斬りが出て、怖くて帰れねぇって言うもんだから…
来てみれば、なんだよ。ただの血まみれの子供じゃねぇか。』
「…誰。」
『この倒れてる奴らは嬢ちゃんがやったのか?』
「……」
『そんな血まみれになっちまってよぉ。可愛いお顔が台無しだなぁ、、、
なぁ、嬢ちゃん。ちと背中見せてくれねぇか?』
頬についた返り血をゴシゴシと拭きながら
私の目をじぃっと見つめるその男はそんなことを口走った。
「なっ!やめろ!触るなっ!!!」
無理やり服をたくし上げ、何かを確認すると
やっぱりな。
とつぶやいた。
『さっきまで顔色ひとつ変えなかったのに、背中見られてその反応。そいつの厄介さは、わかってるみたいだな。』
ニヤリと笑うと自身の服を捲り上げ自分の腰に刻まれた
同じ刻印を見せてくる。
『俺と一緒に来るかい?』
そう言葉にした目の前の人間は、
この、人ならざる非道な生き物の証が……
宇宙一…似合わない男だった。
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徳川に対立する、一橋派護衛忍び集団・隠(かくし)。
これが私の一族。
一橋派の上層部と、一族だけが知っている存在。
私が生まれた…今の将軍、徳川茂茂の父、12代目が健在だった頃は、幕府の内部争いが今よりひどい時代だった。
御庭番衆を待つ徳川に対抗する何かが欲しかった一橋派が
伊賀の里を抜け、罪人として行き場をなくしていた忍びを拾ったことから始まった隠。
元々、過激派の一橋だ。
強いられるものは、非道なことばかり。
生きることですら、そう容易いことではなく…
私たちは、生まれた瞬間から死と隣り合わせだった。
物心つく前から仕込まれる、暗.殺者としての術。
毒に耐性をつけなければならなかった。
痛みに鈍くならなきゃいけなかった。
………感情を持ってはいけなかった。
6歳になる頃…私と歳の近かった者は全員死.んでいった。
身体が耐えられなかったと…そう聞いた気がする……
私自身も過剰に摂取した薬 物のせいで、忍びの頃の記憶は曖昧で……
でも…今でもはっきりと、覚えていると言えることがある。
無意識で動く、生き残るため刻まれた身体の記憶。
そして…初めて人を殺めた時の手の感触と血の匂い…
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むぎむぎ(プロフ) - いちご丸さん» 前作も読んでいただきありがとうございます!!よければこっちも楽しんでいただけると嬉しいです(*´-`) (9月20日 19時) (レス) id: 0ab5c4428c (このIDを非表示/違反報告)
いちご丸 - 実況者さんの小説から来ました!頑張ってください! (9月20日 17時) (レス) id: 7e45dba670 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぎむぎ | 作成日時:2023年9月14日 17時