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A「なーに勝手に見てんだよ。」
銀時『隠してるわけでもねぇんだろ。』
A「まぁ……兄貴。似てないだろ?」
銀時『いや。笑った顔、そっくりだぜ。』
A「そうかい。そりゃ嬉しいなぁ。
兄貴とはいえ、血は繋がってないんだ。まぁ、もしかしたらうっすら血縁はあったかもしれないけどな。」
銀時『そりゃ…どういうこった?』
A「私も兄貴も、元は同じ忍びの家系なんだ。」
銀時『忍び…(どーりで、隙がねぇわけだ。)』
A「さっ。帰ろう。銀時は、人の昔話なんざ興味ないだろ?」
銀時『そりゃそうだ。人様の過去にズカズカ土足で踏み入ることはしねぇよ。
それに、話す気もねぇんだろ?
昔のことなんざ知らなくたって、今のAが知れりゃあ、それだけでいい。』
ただ……
俺は、Aが手に抱える荷物を奪い取る。
銀時『この兄貴のおかげで今のお前がいるってんなら。
そんな育ちのいい妹に助けてもらった感謝くらい、俺にも言わせてほしいもんだ。』
あの写真に映る無情な目をした子供が
こんなにも穏やかな人間に育ったってんなら、
紛れもねぇ。兄貴のおかげだろう。
A「……じゃあ銀時。もう1箇所付き合ってくれないか?」
.
.
.
もうすっかり夕焼けの空が広がる頃、俺たちは
仏花を手に、墓参りに来ていた。
「いや。もういないよ。」
出会ったあの日のAの声が頭の中で再生される。
今ならわかる。
あの時のこいつの瞳が、えらく憂いを帯びていたことが。
A「彰兄さんに感謝したいなんて言う、大馬鹿野郎を連れてきてやったよ。」
Aは打ち水をし、俺の手から花を受け取り、供えながら
そんなことを口にした。
綺麗に手入れのされた墓。
定期的にここへ来ていることが見て取れる。
腰から木刀を下ろし、俺も線香を上げさせてもらった。
死人が口を聞くわけがねぇ。
だけど、手を合わせたその時。
ぶわぁっと背後から何かの気配を感じた。
『ーーをよろしくなぁ兄ちゃん。』
ばっ!と振り返るがそこにはさっきと同じ景色が広がっているだけ。
A「どうした??」
銀時『いや。なんでもねぇ。』
えらくオカルトじみた出来事だってのに、恐怖という感情が一切湧かなかった。
あの気配…こいつそっくりだったな…
不思議そうに?マークを浮かべるAの頭をポンっと撫でる。
銀時『腹減った。帰ろうぜ。
連れてきてくれてありがとよ。』
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むぎむぎ(プロフ) - いちご丸さん» 前作も読んでいただきありがとうございます!!よければこっちも楽しんでいただけると嬉しいです(*´-`) (9月20日 19時) (レス) id: 0ab5c4428c (このIDを非表示/違反報告)
いちご丸 - 実況者さんの小説から来ました!頑張ってください! (9月20日 17時) (レス) id: 7e45dba670 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぎむぎ | 作成日時:2023年9月14日 17時