*ﾟ*金魚花火21*ﾟ* (ページ15)

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【５８４】side M ページ15

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龍村の男たちは、色とりどりの羽織に龍の刺繍を施すが

龍とは痛みだ。龍とは傷跡だ

そういう意味じゃ、女だって

皆、背負って、抱えて、生きてたんだ

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信「龍、ね。この死に損ないもか。

もうボロボロじゃないか。気付いてないとでも思っていたのだろうか

相葉雅紀。俺に協力するフリして俺に近付いて、俺を殺す気だと

俺はずっと気付いていたよ。でも放っておいた、どうしてだと思う？」

潤「さあね」

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銃を構えた。

尾張信を狙って、まっすぐに

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信「殺せないからだよ。こいつに、どうせ俺は殺せない。

現についさっきだ。俺に向かってきた刃は、俺の胸を貫けなかった。その前に力尽きた。

そして君もだ。俺に敵うなんて本気で思っているのか？

俺はこの世界の頂点に立つべくして生まれ、頂点に立つべくして育ち、そしてまさに頂点に立つ男だ。

龍とはそんな、頂点に辿り着けるほんの一握りの選ばれた人間のことを言うんだよ」

潤「……それは違う」

信「すぐに明らかになる。さあ、撃ってごらん？

かわしてやるよ。圧倒的な実力差ってやつを嫌ってほど見せつけてあげよう」

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この狙いが、外れたら。

弾を避けた尾張信は俺に向かってくるだろう

雅紀に傷付けられたのであろう利き腕は、それでも多分、この自信を見たところ大したダメージでもないってことで

勝機があるのか冷静に考えてしまえばまあ、仰る通りというか。

和也や翔さんでも、病気だの怪我だので万全とは言えない現状敵うかどうか

本気で互角でやりあえるのなんて智ぐらいのもんだろうなと思う。

尾張組は烈といい、信といい、バケモンだな。

強さだけを追い求めて非情に強大に、突き進んできた組織

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潤「最後に一つだけ、訊いてもいいか」

信「どうぞ？」

潤「頂点からの景色はどんな感じだ？」

信「……最高だよ」

潤「そうなのか。俺はてっきり、つまらないものだと思ってたよ。

高すぎる場所からじゃ、何も見えないだろ」

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今だ、と俺の中で声がする。

微かに動いたものを見逃さない。

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潤「自分の足元すらな」

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