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「私、お兄ちゃんとお姉ちゃんの為ならって、何でも捨てたよ……?
だってお姉ちゃんとの約束だったから…っ、
お兄ちゃんが大好きだったから……っ
お姉ちゃん、自分に何かあったらお兄ちゃんをよろしくねって言ってたから….!
でもその時は、何を言ってるんだろうって思った………」
_________そしたら本当に、いなくなっちゃうんだもん。
Aは、力なく笑った。
無理やり笑顔を作った。
涙を浮かべながら、何かを訴えかけるように。
それが苦しくて、俺が泣いている間、こいつが泣いていなかったことを思い出した。
俺が見ていないところで泣いていたことも、
俺は、見て見ぬ振りをしていた。
「悲しかった。辛かった。苦しかった。
たった一人のお姉ちゃんが死んじゃって。
大好きだったのに。まだ遊んでほしかったのに。
お姉ちゃんと一緒の髪型で、街を歩いて、買い物して
近所の人に自慢して、
可愛いね、って。そっくりね、って。
凄く凄く嬉しかった!!
忘れたくなかった!
ずっと残していたかった!
でも………っ、私より、お兄ちゃんの方が辛そうだったから…!
あんなに悲しそうにしてるお兄ちゃん見てたら、私なんかが泣いて良いわけがないって思っちゃったの!!!
お兄ちゃんが、私を見て思い出すぐらいなら…!あんなにも悲しむくらいなら…!!!
私があの時死んじゃえば良かったのにって!!
ずっと………ずっと…!
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____________死にたかった」
「助けて」と、そう言われた気がした。
ポロポロと溢れる涙が、床を濡らす。
Aの言葉の一つ一つが、深く胸に突き刺さる。
俺は、いつだってAの優しさに甘えていたのだ。
Aの存在が、いつだって俺を守ってくれていたのに。
支えだったのに。
「ごめん…………ごめん、A…
ごめん………」
どれだけ謝っても、
どれだけ涙を拭っても、
俺の犯した罪は、変わらない。
あの時、Aを抱きしめていたら
泣いて良いのだと、頭を撫でていたら
一緒に悲しみを背負っていたのなら
何かが、変わったのだろうか。
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あめみや - 泣けます。もう一度言います。泣いた (2023年1月6日 22時) (レス) @page7 id: 9b6ef929cd (このIDを非表示/違反報告)
白狼 - 只今読ませていただきました! (2022年5月6日 11時) (レス) id: fc551a1063 (このIDを非表示/違反報告)
白狼 - 完結おめでとうございます! (2022年5月6日 11時) (レス) @page14 id: fc551a1063 (このIDを非表示/違反報告)
おむらーす(プロフ) - 里依さん» ありがとうございます!続編の時もコメントしたくださいましたよね!本当にありがとうございます!楽しく読んでいただけるよな作品を目指して、これからも頑張ります!本当にありがとうございました!! (2016年6月25日 20時) (レス) id: 48f43d8dd4 (このIDを非表示/違反報告)
里依(プロフ) - 完結おめでとうございます!次の作品も頑張ってください!また読みに行きます!! (2016年6月25日 20時) (レス) id: 75168181ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おむらーす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mucho
作成日時:2016年6月4日 10時