番外編1【一緒に】 ページ41
私の存在が知れ渡って早数ヵ月。
現在8月の上旬、夏真っ盛りである。
一応この学校も例外ではなく夏休みに入ってはいるが、私はというと…。
「うえ〜…。何でこんな暑い日に学院にいるんだよお〜……泣きそう…。」
夏休み中に処理をしなければいけない仕事を終わらせるため学院にいた。
「ぅう……あっつい…いっ!?」
噴水の前を通ったら勢いよく腕を引かれた。
こんなことする人は学院に一人しかいないだろう。
深海「Aさんもぷかぷかしましょう〜。"しごと"ばかりだと"ねっちゅうしょう"になりますよ〜。」
「深海先輩、ぷかぷかもいいですけど私はクーラーの効いた部屋でごろごろしたいですー。」
緩やかな空気が流れる。
しかし…これはどうしたものか。
深海「"せいふく"びしょぬれですね、すみません…。」
しゅんとなる深海先輩。
許す、許しますとも、というより最初から怒ってはいないのだけども。
「ん〜…折角なのでこのまま一緒にぷかぷかしましょう〜。」
深海「いいんですか?」
「はい、気分転換というやつですよ。」
そういうと深海先輩は顔を輝かせた。
まだ昼の1時だ。
夏だし風邪をひくことはそうそうないだろう。
___________
「くしゅんっ」
そこまで可愛いげがあるとは言えないくしゃみがでた。
それを聞いた深海先輩はとても申し訳なさそうだ。
深海「うぅー、つきあわせてしまっただけじゃなくて"かぜ"までひかせて…すみません…。」
「いえ、夏だからと油断していた私の責任ですよ…。でも深海先輩が風邪ひかなくて良かったです…。」
深海「ぼくはなれてますからね〜。」
ぷかぷかって慣れるんだと思ったがまあ、うん。納得しかけた。
深海「そういえばきょう"おや"は"いない"といっていましたね?」
ふとぷかぷかしているときに話したことを思い出したように聞いて首を傾げる。
確かに言ったが…まさか…。
深海「"おわび"にぼくが"ゆうはん"をつくりますね。」
そのまさかだった。
ウキウキしてる深海先輩を止めれる訳もなく夕飯は深海先輩の手料理を美味しく頂いた。
「深海先輩…料理上手ですね…。」
深海「ふふっ…よろこんでくれてうれしいです。」
やはり緩やかな空気が流れていたのだった。
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作者名:湯気 | 作成日時:2017年1月19日 5時