オトナの特権(相川始) ページ10
「仲良いんですね、天音ちゃんと」
無意識に声が低くなった。
彼は何かを察したように間を置くと「ああ、そうだな」といつもの調子で言う。
「なんであの子なんですか」
始さんの動きが止まる。
でも何も言わない。今までだって教えてくれたことはない。あの親子と、過去に何があったのか。
「あの子、始さんのこと本気で好きだと思いますよ」
「彼女はまだ子どもだ」
「大人ですよ。……心は」
私は彼の前でつま先立ちをすると、その首に腕を絡め、静かに唇を重ねた。
「……こういうことは私だけ、ですよね」
私を見下ろす彼の眼が鋭く光った気がした。
その刹那、突然強く腕を引かれる。
私の髪が彼の頬にはらりとかかる。気づけば彼を押し倒すような体勢になっていた。
「どうした。顔が紅い」
不敵に微笑むその瞳は、私を映している。
「人間の女は国すら傾けると聞いたが……」
まるで存在を確かめるように、彼の冷たい手が頬を撫でる。
「お前で試すのも悪くない」
その甘美な言葉に思わずこぼれた恍惚のため息は、彼の情欲をより一層駆り立てた。
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mtnz(プロフ) - namelessさん» 感想ありがとうございます!!微妙な関係性、いいですよね……。閲覧感謝です!🙏また新たな良き関係性を書きたいと思います! (4月4日 17時) (レス) id: 2225662d3f (このIDを非表示/違反報告)
nameless - 草加夢の関係性とても好きです……………😭😭😭めちゃくちゃたすかりました…………😭😭😭😭😭😭 (4月4日 3時) (レス) id: 61c846afc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mtnz | 作成日時:2024年2月18日 1時