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ひみつのヒーロー(城戸真司) ページ8

仕事が終わり会社を出ると、見覚えのある人が立っていた。

「城戸くん?」
「あ、Aちゃん!」

こちらに気づき、ニコニコと満面の笑みを向ける。
OREジャーナルの城戸くんとは仕事で知り合った。歳が近いというのと、彼の気さくな性格もありそれなりに仲良くしている。つまりただの友達。今のところは。

「どうしたの?久しぶり」
「えっとー……実は取材でこの辺寄って、そのまま帰るところだったんだけどさ。もし会えたら一緒に飯でもどうかなーって思って」
「もしかして、ずっと待っててくれたの?」
「いや、さっき来たから全然!つーかほら、奢るし!」
「そんな、待っててくれたのに悪いよ」
「全っ然!俺、今日すげー奢りたい気分だから!ね!」

懸命に奢ろうとする城戸くんの熱意に折れ、今日はご馳走になることにした。

「……ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えて」


*

食事を終え、ソフトドリンクを飲みながら談笑していると、思わず欠伸が出た。城戸くんが「ごめん、疲れてるよね」とばつが悪そうに言う。

「違うの。最近ちょっと寝れてなくて」
「なんかあったの?」
「……実は、最近部屋の鏡におばけみたいなのが映るの。勘違いだといいんだけど……もう何回も見てるの。なんだか気味が悪くて……」

視線を彼に戻すと、何やら考えるように黙り込んでいる。
「城戸くん?」
「……あのさ」
「……うん」
「今からAちゃん家行ってもいい?」
「えっ!?」

突然のことに驚いて顔が熱くなる。外は既に真っ暗で、星が見えるほど更けているというのに。この人は自分が何を言っているか分かっているのだろうか。

「あっ!悪い、その……変な意味じゃないから!本当!」
「慌てるところが逆に怪しい……」
「違うんだって!そのおばけ退治したらすぐ帰るから!約束!絶対!」

口から出任せにしか聞こえない。だが真剣な表情の彼が、適当なことを言っているとは思えなかった。

「……うん、分かった」
「えっ、本当!?」
「うん。おばけ退治、お願いします」
「……お、おう!任せて!俺、Aちゃんのこと絶対守るから!」

そう言うと彼の背後の窓ガラスに、一瞬赤い龍の影が映ったような気がした。

おたがいさま(草加雅人)→←君は特別(相川始)



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mtnz(プロフ) - namelessさん» 感想ありがとうございます!!微妙な関係性、いいですよね……。閲覧感謝です!🙏また新たな良き関係性を書きたいと思います! (4月4日 17時) (レス) id: 2225662d3f (このIDを非表示/違反報告)
nameless - 草加夢の関係性とても好きです……………😭😭😭めちゃくちゃたすかりました…………😭😭😭😭😭😭 (4月4日 3時) (レス) id: 61c846afc2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mtnz | 作成日時:2024年2月18日 1時

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