美女と野獣否定論(草加雅人) ページ4
「何を観てるんだ?」
ソファーに座って映画を観ていると、頭上から草加くんの声がした。
「美女と野獣。この話、好きなんだ」
「へえ…」と一言、あまり興味なさそうに返事をすると、視線をテレビに向けたまま私の隣に座る。
「俺はあまり好きじゃないな」
「どうして?ロマンチックでいいと思うけど」
「美しい女性が、そう都合よく野獣なんかを好きになるかな」
「それは……おとぎ話だから仕方ないよ。それに相手が何であれ、恋に落ちることってあるんじゃない?」
「じゃあ君は」
突然強い口調になった草加くんが、真剣な眼差しで私の目をとらえる。
「野獣に恋をしたことがあるのかな」
「そんなこと……あるわけないよ」
「そうか。それならいいんだ」
いつもの穏やかな表情に戻ると、安心したようにソファーに深く座り直した。
「この話だって、最後は姿が人間に戻る。結局、お姫様の隣には、人間の王子が相応しいんだ」
「まあ、そうかもね」
その刹那、草加くんの腕がするりと肩に回り、彼の身体がぐっと近づくと、こちらを覗き込むようにして顔を寄せ、優しく微笑んだ。
「君と僕のことを言ってるんだけどな」
私の手を添えるようにそっと取ると、その甲に優しくキスをした。
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mtnz(プロフ) - namelessさん» 感想ありがとうございます!!微妙な関係性、いいですよね……。閲覧感謝です!🙏また新たな良き関係性を書きたいと思います! (4月4日 17時) (レス) id: 2225662d3f (このIDを非表示/違反報告)
nameless - 草加夢の関係性とても好きです……………😭😭😭めちゃくちゃたすかりました…………😭😭😭😭😭😭 (4月4日 3時) (レス) id: 61c846afc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mtnz | 作成日時:2024年2月18日 1時