しのぶれど(相川始) ページ26
「いいですね、始さん。天音ちゃんみたいなカワイイ女の子に好かれて」
いいなぁ、妹みたいで。
とある昼下がり。私は彼と、たわいもない会話に花を咲かせていた。
始さんの下宿先に住む天音ちゃん。彼女はまだ子どもだけど、始さんを思う気持ちは本物だ。子どもとはいえ、心はもう立派な大人なのだから。
「……そうだな」
そう返事をする彼。あまりピンときていないのか、いまいち反応が悪い。
まあ、もともと感情表現が豊かな方ではないとは思うが。
「…あのですね。いいですか、始さん?つまり天音ちゃんは“恋”をしてるんです。恋っていうのは、したくてできるようなコトじゃないんです。偶然!奇跡!運命なんです!すごいことなんです!その人のことを思うと、ドキドキして嬉しくって、思わず笑顔になったり、ときには理由もなく涙が出てきたり……もう毎日が、全てのものがキラキラ輝いて見えるんです。本当に!」
「……そうか」
彼はわずかに頬を緩めたかと思うと、私の目を見て言った。
「お前は、その“恋”というものをしているんだな」
「えっ!?」
突然の言葉に声が裏返った。
急に身体が熱くなり、だらだらと汗をかき始める。
「……な、なんで分かるんですか?」
明らかにいつもと違う反応を見せてしまったため、取り繕うのも無駄かと思い素直に問う。
「今の話を聞いて分かった。お前が見せるいつもの顔――いつもの眼は、“恋”によるものだと」
「……それって、どういう意味ですか」
「知りたいか」
どこか余裕そうに微笑むその表情は、とっくに私の全てを見透かしているように見えた。
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mtnz(プロフ) - namelessさん» 感想ありがとうございます!!微妙な関係性、いいですよね……。閲覧感謝です!🙏また新たな良き関係性を書きたいと思います! (4月4日 17時) (レス) id: 2225662d3f (このIDを非表示/違反報告)
nameless - 草加夢の関係性とても好きです……………😭😭😭めちゃくちゃたすかりました…………😭😭😭😭😭😭 (4月4日 3時) (レス) id: 61c846afc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mtnz | 作成日時:2024年2月18日 1時