身代わり�◆柄隹嘆躾諭� ページ24
彼を余所に再び手を動かし始めると、もう一人別の男子学生が傍へ来た。
先ほど受けていた講義で一緒だった同じ学科の男の子。今日の私の発表内容が興味深かったと褒めてくれた。
「よければ、今度一緒に勉強しないか？お互い資料集めもあるだろうし」
「えっと……」
どう返事をしようかと考えていると、先に彼が口を切った。
「残念だけど、やめておいた方がいい。彼女の恋人はとても嫉妬深くてね。あまり気安く声をかけない方が、君の為だと思うな」
さも平然と笑顔でそう言ってのける。恐ろしい男だ。
そう言われた彼の方はというと、一瞬ぽかんとした後、私と隣の彼の顔を見比べ、何か思い出したような表情になった。そして慌てて謝ると、逃げるようにその場を去っていった。
「私にそんな嫉妬深い恋人がいたのね」
「ああ。だからこうして、虫がつかないようにしているんだ」
――ずるい
独占欲ばかり強くて、私のことなんて好きでも何でもないくせに。
それに貴方は隠しているつもりだろうけど、私は知っている。
彼の心の中には別の女がいる。
私じゃない、別の、誰か知らない女が。
彼は私のことなんてこれっぽっちも見ていない。
私を通して、別の女の影を見ている。
今も鮮明に思い出す。あのとき、私が髪を短く切ったときの彼の表情――彼は私の向こうに見える、その女を確かに見ていた。悔しかった。まるで私のことなど、目に入ってもいなかった――！
私は所詮2番目。いや、２番目ですらないのかもしれない。
ただのかりそめの恋人に過ぎない――
「……ずるいよ。雅人は」
「でも君は、そんな俺のことが好き――違うかな」
私は俯いたまま首を振る。
「……嫌い」
「……それは天邪鬼って解釈して、いいのかな」
罫線の入った白い紙に、丸い水の玉がぽたりと落ちた。
それはインクで書かれた私の文字を、黒く浸食するように滲ませた。
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mtnz(プロフ) - namelessさん» 感想ありがとうございます！！微妙な関係性、いいですよね……。閲覧感謝です！🙏また新たな良き関係性を書きたいと思います！ (4月4日 17時) (
レス) id: 2225662d3f (このIDを非表示/違反報告)
nameless - 草加夢の関係性とても好きです……………😭😭😭めちゃくちゃたすかりました…………😭😭😭😭😭😭 (4月4日 3時) (レス) id: 61c846afc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mtnz | 作成日時：2024年2月18日 1時
