恋人未満(相川始) ページ3
「ありがとうございます。迎えに来てくれて」
夜のネオンに照らされた彼は、いつも以上に不思議な雰囲気を纏っている。
今日は会社の飲み会があった。
始さんは私を心配し、夜遅くにも関わらず、こうして迎えに来てくれた。
「俺が勝手にしているだけだ。気にするな」
軽く微笑んで、ヘルメットを差し出す。
それを受け取り、促されるままバイクの後ろに乗る。彼の腰に手を回し、抱き締めるようにぎゅっと捕まる。その瞬間、まるでそれが合図のように、何も言わぬままスピードを上げて走り出した。
夜風が気持ちいい。
その冷たさは、アルコールで火照った身体に丁度よかった。
流れ過ぎる夜の街並みをぼうっと眺めていると、酔いに任せて思わず口が滑りそうになる。
始さんって、恋人とかいるんですか。
兄弟っていますか。好きな場所ってどこですか。
叶えたい夢って、ありますか。
訊きたいけど、訊けない。
「着いたぞ」
気がつくと、家の前に着いていた。
降りようとしない私を変に思い、始さんが私の名前を呼ぶ。
「……少し」
「A?」
「もう少し、このまま……」
彼の腰に回した手に力が篭もる。
彼は前を向いたまま何も言わず、ただ私の手を包み込むようにしてその手を重ねた。
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mtnz(プロフ) - namelessさん» 感想ありがとうございます!!微妙な関係性、いいですよね……。閲覧感謝です!🙏また新たな良き関係性を書きたいと思います! (4月4日 17時) (レス) id: 2225662d3f (このIDを非表示/違反報告)
nameless - 草加夢の関係性とても好きです……………😭😭😭めちゃくちゃたすかりました…………😭😭😭😭😭😭 (4月4日 3時) (レス) id: 61c846afc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mtnz | 作成日時:2024年2月18日 1時