独り占め(草加雅人) ページ14
「そういえば、乾くんって意外と優しい人だね」
私がそう言うと、急に草加くんの顔から表情が消えた。
「二度とその名前を出さないでくれるかな」
「えっ、どうして?」
「君の口から聞きたくないんだ」
きっと何か理由があるのだろうと思い、私はそれ以上訊かないことにした。
「……うん、分かった」
「ありがとう。俺は君の、そういう物分りの良いところが好きなんだ」
そう言って、そっと私の頭を撫でてくれる。いつだって草加くんは優しい。
すると彼は何かに気づいたように動きを止める。
「もしかして、シャンプーとか変えた?」
「え!すごい、よく分かったね!正確にはリンスだけど」
自分で自分の髪をくんくんと嗅ぐが、あまり違いが分からない。
「それとその服は、君が気に入っている店で新しく買ったものだ」
「そう、よく気づいたね!この前見つけたときに買ったの」
私は服の端を掴み、彼に見せるようにする。
「そして来週、君はあいつと二人で出掛けようとしている」
そう言い放つ彼の表情は酷く冷たく、既に笑顔は消えていた。
「なんで知ってるの」
「分かるさ、君のことなら」
「何も言わないなんて、つれないじゃないか」と乾いた笑いが聞こえる。
「――俺はもう、君について知らないことなんて無いんだ」
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mtnz(プロフ) - namelessさん» 感想ありがとうございます!!微妙な関係性、いいですよね……。閲覧感謝です!🙏また新たな良き関係性を書きたいと思います! (4月4日 17時) (レス) id: 2225662d3f (このIDを非表示/違反報告)
nameless - 草加夢の関係性とても好きです……………😭😭😭めちゃくちゃたすかりました…………😭😭😭😭😭😭 (4月4日 3時) (レス) id: 61c846afc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mtnz | 作成日時:2024年2月18日 1時