【銀魂】今日も傘屋は騒がしい【坂田銀時】

23 褒め言葉に買い言葉 ページ24

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あれから二、三時間くらいかけて
お互い二つずつ、計四つの傘を完成させた。


既に日は沈み、辺りは闇に覆われている。


一日中作業に没頭した結果、想像以上に疲れが溜まってしまった。
しかし、それは本業のコイツも一緒なようで。





『あー、もう無理...』





朝からの疲労が一気に押し寄せたように、
がくりと床に崩れ落ちた。


いつもなら貶してやるところだが、今は流石にそんな気力も無い。
同情の意味も込め、軽く背中を叩いてやった。





「...じゃ、残業も終わったし、帰るとするか」





『...旦那、馬鹿ですか？』





「あ！！？ 馬鹿の神様に言われたかねぇっつの！！！」





『外見てみりゃ分かりますよ』






Aに促されるまま、外へ出てみた。

...ひんやりした空気が心地よい。


辺りをよく見てください、そんな声の通り、左右を見渡してみると。






「...えっ、何これ。 真っ暗じゃん。
マジでなんも見えないレベルで暗いんだけど」





『ここら辺、街灯が一切無いんですよ。
いくら旦那でも、一人で歩いて帰るのは危険です』





「じゃあどうしろと...」






思わず頭を抱えると
Aは一旦、鋏や生地やらを片付けていた手を止め、何か考えるように黙り込んだ。


しばらくその姿をじっと見ていれば、ゆっくりと顔を上げて、俺の顔色を伺うようにこちらに視線を向ける。






『……泊まっていきます？』





「……は、」






遠慮がちに発せられたその言葉、
確かに「泊まっていきます？」と聞こえた。

俺の耳に誤りは無いはず。






『…別に、変な目に合ってもいいなら、帰って貰って結構ですけど』





「…ツンデレかお前」





『なッ…何ふ抜けたこと言ってんだクソ天パァ！！！！
人が親切にしてやってんのに！！！！』





「ツンデレってふ抜けた事なの！！！？
世間一般的に一番美味しい設定だと思うんだけど！！！？
褒め言葉だと思うんだけどォ！！！？」






必死の俺の言い分が通るわけも無く
まさにパワー5リラの拳が容赦なく俺の脳天に降り注いだ。


あまりの痛みに、反射的に目尻に涙が溜まる。






「ってぇ…手加減ってもんを知らねーのかお前は」






頭部を抑えて睨んだものの、特に反省する気はないらしく。






『なんか、アレですね。
旦那の涙目…凄いそそられます』





「女が男になんつーこと言ってんだ気持ち悪い！！！！」

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