ポリジュース薬07 ページ29
「君が継承者だと思ってた」
「なに...？」
ドラコの顔が酷く歪んだ。
その顔にはありありと嫌悪感が滲み出ていて、クラッブが慌ててフォローに入った。
「グ、グリフィンドールの奴らがそう言ってたんだ」
「フンッ、馬鹿な奴らだ。僕は確かに純血だがスリザリンの血は入ってない。...まあ、もしこの僕が《継承者》ならさっさとこの事件を終わらせてセレナの汚名返上してやるさ」
鼻で笑い堂々と言い切ったドラコに、クラッブとゴイルは押し黙った。
しかしセレナの表情はどこか浮かない様子で、ドラコは目敏くそれを見抜いた。
「どうした、セレナ。この馬鹿どものせいか？」
「いいえ、違うわドラコ。その...ちょっと言っておかなきゃならないことがあって...」
チラチラとクラッブとゴイルを見て言い淀むセレナに、ドラコはセレナに優しく笑みを向けたあと、クラッブとゴイルの二人に冷たく言い放った。
「お前たち、もう行っていいぞ。というかどっか行け」
シッシッと追い払うようなジェスチャーをするドラコに、まだ居たそうなゴイルを引っ張ってクラッブは談話室を出ていった。
何故かゴイルの襟足が黒くなり、クラッブの髪に赤色が混じっていたのをセレナは見逃さなかった。
二人を見送ったあと、ドラコはセレナを一度立たせて三人がけのソファに身を移した。
「それで、何があったんだ？」
「あのね、ドラコ。実は私の家系なんだけれど...」
唇をドラコの耳元まで持っていくと、消えそうな声で真実を告げた。
聞こえたであろうドラコは慌ててセレナから離れると、口を手で押えた。
ドラコの反応にセレナは笑って、ポシェットから包装されたクリスマスプレゼントをその場に置いて立ち上がった。
「やっぱりドラコも怖いわよね...。それ、クリスマスプレゼントなの。もし良ければ使ってちょうだい」
その場から動かず顔だけをセレナに向け見送るドラコに、セレナは扉を閉める前に一言告げた。
「移動する時は必ず持ち歩いた方がいいわ。死ぬよりはマシになるから」
バタンと閉じられた談話室に、ドラコは一人取り残された。
口を押えていた手をだらんと下げて、セレナが置いていったプレゼントに手を伸ばし開けると、中に入っていたのは銀色に輝く四角い何かだった。
表面にはマルフォイ家の家紋が装飾されており、その家紋に存在する蛇の目にはペリドットが使われていた。
ドラコはカバーをそっと開けると、自分自身が目の前に映った。
「……手鏡？」
ドラコは首を傾げたが、セレナの言葉を思い出し素直にポケットへと仕舞うと、少し冷静になった頭で脳裏に浮かんだのはセレナの最後の表情だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 195人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レン(プロフ) - 葵さん» 葵さんコメントありがとうございます！コメント頂けるだけで励みになります✨️GW明けたので更新頑張っていきます！ (5月8日 7時) (
レス) id: 38d4befbfc (このIDを非表示/違反報告)
葵 - とっても面白いです！更新頑張ってください！（文章短くてすいません） (5月6日 20時) (レス) @page34 id: 20e1982af2 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - みーさん» みーさん、コメントありがとうございます！これからも執筆頑張ります！！ (5月1日 7時) (レス) id: 38d4befbfc (このIDを非表示/違反報告)
みー - むちゃくちゃサイコーです！ (4月29日 20時) (レス) @page32 id: 3d403f2132 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - レイさん» レイさん、コメントありがとうございます！出来るだけ違和感が出ないようにと心掛けてるので嬉しいです☺️これからもよろしくお願いします！ (2023年4月24日 6時) (レス) id: 38d4befbfc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：レン | 作成日時：2023年3月18日 7時
