真夜中の決闘04 ページ42
「セレナ!!?」
ハーマイオニーの悲鳴に近い声を後ろに、柄を九十度に持ち上げぐんぐんと上昇しネビルに近づく。
風を切り割く感覚と、その高揚感と言ったら―――!!
乗ったこともない箒なのに、セレナは右に曲がる癖のある箒を上手く扱い、あっという間にネビルと並走できる高さに来た。
「ネビル!聞こえる!?」
「セレナ!助けて!僕、もう、怖いよ!!」
「まずは落ち着いて。深呼吸できる?」
「出来ない!助けてセレナ―――うわっ!!?」
ネビルに声をかけるも、落ち着きやしない彼は遂に箒から手を放してしまった。
再び悲鳴が下から聞こえる中、セレナは思わず舌打ちして箒の柄を今度は真下に向ける。
三メートル、二メートル…一メートル…捕らえた!
「ネビル!!!」
手を伸ばしネビルのローブを掴むと、グンッと彼の重さで下に引っ張られはしたものの、辛うじて助けられたようだ。
下からも歓声が聞こえてきて、セレナは漸くホッと息を吐いた。
「ネビル!生きてる?」
「いぎでるっ!セレナ、ぼく、生きてるよ!!」
「あと少しだから暴れないでね!」
そんな会話をしながら少しずつ下降し、地面まで残り三メートルあたりといったところで、ビリッと嫌な音が聞こえた。
ネビルのローブが不運にも破れたのだ。
ドサッと音を立ててネビルはうつぶせに墜落し突っ伏し、マダム・フーチが慌ててネビルに駆け寄るのを眺めながらセレナも地面に足をつけた。
どうやら打ち身と擦過傷で済んだらしい。
降りてきたセレナにハーマイオニーが何かを言う前に、マダム・フーチはネビルを立たせると生徒たちに向き直った。
「私がこの子を医務室に連れて行きますから、その間誰も動いてはいけません。箒もそのままにしておいて置くように。さもないとクィディッチのクの字を言う前にホグワーツから出ていってもらいますよ。
それとウィンクルム、貴女もこちらに来なさい」
「はい、先生」
マダム・フーチの言葉が嫌に心に突き刺さりながら、彼女とネビルと共に校庭を後にする。
いくら人助けだとしても教師の言葉を無視して勝手なことをしたのは事実だ。罰則、最悪は退学だろうか…。
チラリと後ろを見ると、心配そうな泣きそうな表情のハーマイオニーやロン、ハリーの顔が見えた。
最後に会う機会があればいいな。
セレナは、未だ恐怖心が取れないネビルを支えながらそんなことを思った。
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レン(プロフ) - 潤華さん» 潤華さん、初コメありがとうございます!お褒めの言葉嬉しいです☺️引き続き、応援よろしくお願いします! (2月5日 7時) (レス) id: 38d4befbfc (このIDを非表示/違反報告)
潤華 - とっても面白いです!!!♡♥ (2月4日 20時) (レス) id: 9eceefbc71 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - カケオレさん» コメントありがとうございます!この時代にもニュートが居たので是非からませたいと欲望が出てしまいました笑今後も出てきますので楽しみにしててください! (2023年3月20日 21時) (レス) id: 38d4befbfc (このIDを非表示/違反報告)
カケオレ - ニュートが出てきた瞬間叫んでしまいましたよ (2023年3月20日 7時) (レス) @page11 id: 1b32a494c8 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - †NANA†さん» ご指摘ありがとうございます!遅ればせながら修正致しました(^^) (2023年2月10日 20時) (レス) id: 38d4befbfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レン | 作成日時:2022年7月3日 9時