無色の枷 (ページ7)

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ⅶ ページ7

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食事を終えたAは、膝を抱えて座りながら足枷をいじっていた。

「…外そうとしてるなら、手錠付けるけど」

「ちょっと触ってるだけでしょ。それともそんな簡単に外れるもんなの？」

「そんなことはないけど…」

そうは言いつつも、Aは突破口を探していた。
鎖の付け根などをどうにかして壊せないか、針金などで鍵を解除することはできないか。

だが何の知識も力もない彼女は、手持ち無沙汰にいじることしかできなかった。
それよりも……

「…っ」

Aは膝を擦り合わせるようにして身を捩らす。
先程からトイレに行きたくて仕方がないのだ。

だがこの誘拐犯、もしそれを告げれば介護のようにトイレの世話もされるかもしれない……。
そんな可能性を考えるとイヤで黙っていたが、さすがに限界が来た。

「…ねぇ」

「なに？」

「その……トイレに…行きたいんだけど」

「！…そっか！足枷があって一人で行けないもんね」

「うん。だから…」

「だから僕が連れていって、中で手伝ってあげないとなのか…！」

「違う。やめて」

抱き抱えようとする影汰に、Aは必死に抵抗する。

「あーもう！触んな！！足枷を外してって言ってんの！」

「ダメだよ。そしたら君逃げるじゃん」

「逃げないよ！逃げないからトイレくらい一人で行かせて！」

「そんなの信用できないよ。トイレの近くは玄関だし」

「じゃあどうしたら外してくれるの！」

「外さないって。…大丈夫。恋人の世話は僕、喜んでするよ」

ニタァと笑うと、影汰はAを無理矢理抱き抱えた。

「ちょっと…！！」

そのままトイレの前まで連れてこられたAは、そこで暴れだした。

「わかった…！じゃあここで降ろして！ここで待ってて！」

「ここって…ドアの前で？」

「そう！そしてトイレの間だけ枷外して！トイレ終わったらまた付けていいから！お兄さんがドアの前にいれば、さすがに私も逃げられないでしょ！」

「うーん……でも」

そう言うと影汰はトイレのドアを開ける。

「あの小窓から逃げられるかも」

「いや入れるか！！」

どう見ても人の入れる隙間のない小窓を見て、思わずAはツッコむ。

「…わかった。じゃあここで待ってる」

「うん。是非そうして」

Aは枷を外して貰うと、そのままトイレに駆け込んだ。