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49こえ ページ50

現世の森に一つの影がのびる。それは勢いよく動きながらもしっかりと目的地に向かっていた。

その影の主、こと白澤は荒い呼吸でついさっき通った道を思い出しながら走る。その場所に近づく程空気は重くなり、白澤の体力を奪っていく。それでも彼は進むペースを変えないまま走った。

暫くすると道が開け、神社のある広場に出た。そこはもうこの世の地獄だった。真っ黒な気が視認できる程であり、白澤は思わず倒れ込む。

白「…う、くぅ」

身体に重い石をのせられているような感覚が白澤を襲い、身体が動かない。腐っても神なのだ。これだけの瘴気に当てられれば動けなくなるのは当然とも言える。

不意に社の方へ目を向けると、扉が少し開いていることに気づいた。だが白澤が顔を上げるとすぐに扉は閉められた。

きっとAだ。白澤は渾身の力で腹から声を絞り出した。

白「Aちゃ、ん…!お願い…出てきてっ」

だが白澤の声は思ったよりも小さく、白澤はだめだ、と諦め目を伏せる。

その時だった。

白「…いたっ」

うつ伏せになった白澤の頭にピンポン玉程の石が飛んできたのだ。白澤は頭を抑えながら顔を上げる。

貴「………」

社の扉が開けられ、中からこちらを伺うようにAが顔を出していた。その表情は不安の色を隠しきれないでいる。だが目は相も変わらず真っ黒で、肌は真っ白だった。

貴「白澤様…」

虫の鳴くような声でAは呟いた。その小さな声は段々と大きくなり、その度に白澤の身体に重みが増す。

貴「白澤様」

ついには白澤の傍で声がし、それと共に白澤の意識は途絶えた。



__________
[追記]続編出しました。

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(プロフ) - ハル@雪割桜さん» コメントありがとうございます!私も泣くと思います(笑)でも、罵られるのもいいかも(( (2014年12月21日 22時) (レス) id: 44f16ce612 (このIDを非表示/違反報告)
ハル@雪割桜(プロフ) - 白澤様も鬼灯様もおやさしい!!自分こんな優しくされたら泣くわ← (2014年12月20日 11時) (レス) id: 9e20382275 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ハル@二次元から戻れなくなった奴さん» 愛莉ちゃん、諦めてくれるでしょうか(・・;)コメントありがとうございました! (2014年12月18日 2時) (レス) id: 44f16ce612 (このIDを非表示/違反報告)
ハル@二次元から戻れなくなった奴(プロフ) - 愛莉てめェェェェェェェェェェさっさと諦めろォォォォォォォォォォ鬼灯様は夢主様が好きなんだぞォォォォォォォォォォ(怒) (2014年12月17日 19時) (レス) id: 9e20382275 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 雷風神 凪響 ーraihuuzin naotoーさん» ありがとうございます!その言葉に涙が出そうです…っ!すごく励みになります(^o^)更新急ぎます! (2014年12月16日 7時) (レス) id: 44f16ce612 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2014年9月15日 18時

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