42帰り道 ページ43
Aのいた神社からあの世への帰り道、二人は険しい表情で歩いていた。
白「……傷はなかった」
ぽそり、と誰に言うでもなく呟いた白澤に鬼灯は顔を向けた。
鬼「ええ」
二人とも先程の光景を思い出すように遠い目をする。
あの時のAの顔、声さえも耳に残っていた。
酷く変貌していたことについては口にすることはなかったが、白澤も鬼灯もわかっていた。
もう、時間はない。
鬼「…ではやはり」
白「うん。多分、Aちゃんを悪者にしたい誰か…。その誰かは」
鬼「愛莉さん、ですか」
白澤が言うよりも先に鬼灯が口を挟む。
白「お前もそう思うんだね」
鬼灯は目を伏せ眉間に皺をよせた。何か考えるように腕を組む。
鬼「…先程も言いましたが」
一息置いて続ける。
鬼「まだ何も確証はありません。決めつけはよくないです」
白「確認すればいいんじゃん」
白澤はさも当たり前のように言い、鬼灯も「わかっています」と眉間の皺をより一層深くさせた。
あの世への門が見えてきた頃、白澤が足を止め口を開いた。
白「−して、もし愛莉ちゃんがやっていたとして、お前はどうするの」
鬼灯も白澤より少し前で足を止める。そして暫く考える素振りをした後答えた。
鬼「…わかりません。ですが、Aさんには謝らねばなりませんね」
白澤は「そう」とだけ言い、また歩き始める。
門の前に着き、またも白澤は足を止めた。
白「もしAちゃんが何も悪くなかったってわかったら、一発殴らせろ」
鬼灯は白澤を睨み、大きなため息を吐く。
鬼「…まあ、いいでしょう。ですが私も殴ります」
白「なんでだよ！？」
納得いかなそうにしている白澤を無視して鬼灯は地獄へと足を向ける。白澤もそれを見て不服そうに天国へと足を向けた。
白澤も鬼灯もこれから起こることに対し、不安を抱いていた。
だが二人の足取りは軽やかで、行きの時のような迷いはなかった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 235人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
和(プロフ) - ハル@雪割桜さん» コメントありがとうございます！私も泣くと思います(笑)でも、罵られるのもいいかも(( (2014年12月21日 22時) (
レス) id: 44f16ce612 (このIDを非表示/違反報告)
ハル@雪割桜(プロフ) - 白澤様も鬼灯様もおやさしい！！自分こんな優しくされたら泣くわ← (2014年12月20日 11時) (レス) id: 9e20382275 (このIDを非表示/違反報告)
和(プロフ) - ハル@二次元から戻れなくなった奴さん» 愛莉ちゃん、諦めてくれるでしょうか(・・;)コメントありがとうございました！ (2014年12月18日 2時) (レス) id: 44f16ce612 (このIDを非表示/違反報告)
ハル@二次元から戻れなくなった奴(プロフ) - 愛莉てめｪｪｪｪｪｪｪｪｪｪさっさと諦めろｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫ鬼灯様は夢主様が好きなんだぞｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫ(怒) (2014年12月17日 19時) (レス) id: 9e20382275 (このIDを非表示/違反報告)
和(プロフ) - 雷風神 凪響 ｰraihuuzin naotoｰさん» ありがとうございます！その言葉に涙が出そうです…っ！すごく励みになります(^o^)更新急ぎます！ (2014年12月16日 7時) (レス) id: 44f16ce612 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：和 | 作成日時：2014年9月15日 18時
