誰もいなかった[鬼灯の冷徹]

26新たなる ページ27

愛莉said

Aは無罪となった。私が反対したからだ。

まあそれで私の好感度も上がる訳で。

「大丈夫？愛莉ちゃん」

「無理しなくていいからね」

周りの人も前よりずっと心配してくれるようになった。気分が良い。

だけどAの判決がくだされてから、鬼灯様の様子がおかしい。私と話す時、何かを探るように見つめてくることがある。

そしてお香姐さんの質問攻め。

香「本当にAちゃんが刺したの？見間違いじゃないの？事故だったんじゃない？」

正直鬱陶しかった。でも、お香姐さんは私を疑っている訳でもなさそうだった。あくまで事故か何かだと思っているらしい。

愛「あまり思い出したくないので…」

こう言って誤魔化す。そうするとまた周りの者たちが優しく気遣ってくれた。

今日も同じようにそれの繰り返しで、鬼灯様の隣で雑務をこなしていた。

鬼「そろそろあがっていいですよ」

愛「鬼灯様は？」

鬼「まだ書類が残ってるので」

愛「なら私も」

鬼「いえ、大丈夫です」

愛「…そうですか」

前は手伝わせてくれていたのに最近は早く帰れと言う。Aが判決をくだされた日、Aと何かあったのだろうか。

私は閻魔殿を出て衆合地獄への道を歩く。道行く人に愛想を振り撒きながら。

愛「…あれ、これって」

途中、道の端でキラキラと光る物を見つけた。手に取り土を払う。白地に薄い緑の花の髪飾り。

Aのだ。

きっと白澤様に貰ったのだろう。それを落とすなんて…。

愛「…そうだ」

これを使えば"あれ"ができる。きっとこれでAはもっと嫌われるかもね。

鬼灯様も確実に手に入れてやる。

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愛莉の頭に浮かんだのは恐ろしい計画。そしてそれが実行されるのはすぐ後の話。


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