誰もいなかった[鬼灯の冷徹]

12嘘つき ページ13

愛莉said

廊下から、足音が聴こえる。多分鬼灯様だろう。

鬼「…愛莉さん、大丈夫ですか？」

やっぱりね。

愛「だいぶ楽になりました。鬼灯様のおかげです。本当にありがとうございました」

鬼「…医療班の処置が良かったのでしょう。それより」

愛「はい。あの時のことですよね」

鬼「…ええ、思い出したくないでしょうが」

愛「いいえ、全てお話します」

わざとらしく切なげに笑ってみせる。鬼灯様はお願いします、と申し訳なさそうに呟いた。

ほんとに、格好いい…。早く私のモノにしてしまいたい。

愛「…私、Aさんに呼ばれたんです。倉庫に来てと。私は何かミスをしたのかと思って今日の…14時くらいでしょうか。倉庫に向かいました。そこにはAさんがいて、私に言ったんです」

私は一息置いてから、話を続けた。

愛「"あなた、補佐官になりたいんでしょう？"って…。それで調子にのるな、とかお前に出来る筈がないだろうって言ってきて…。私がそんなことないです、と反発したんです。…それで」

鬼「…ありがとうございました。もう大丈夫です。彼女は何処かへ行きました。…補佐官も辞めさせるつもりです」

なんだか、話が上手く流れ過ぎて笑いそうなんだけど。…でもこれで。

愛「…でもっ、また戻ってきて私を…っ！」

私は怯えたように肩を両手で抱えた。

鬼「…大丈夫です。地獄の方達はあなたのことを心配してますし、守ってくれるでしょう。私も暫くは傍につきましょう」

愛「…本当ですか？」

鬼「ええ、だから安心なさい」

愛「ありがとうございます…っ」

最高じゃない…。このままいけば私が補佐官になれる…！

鬼灯様とも…。

なんて運が良いのかしら。



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