怒れない(少年期) ページ9
智side
俺のスマホが鳴った時、丁度学年集会をしていた
出る訳にもいかず…マナモードにした
学年集会が終わってスマホ見ると、留守電が1つ
翔から「事故が起こった」とだけ
それは、俺だけじゃなかった。
皆のにも入ってた
雅「智にぃ！」
「急いで帰るぞ」
雅「もう、和達は帰った」
潤達に連絡を入れて見れば…
潤「家は無事」
和「翔ちゃん帰ってないよ」
潤「カバンも無い」
和「あっ、電話」
電話の相手は警察
○○病院に来てくれとの事だった
あの病院…母さん達が息を引き取った場所
「と、とりあえず…行こう」
で、さっきの話に至る
翔「智にぃ…ごめんなさい！」
「お前っ…何してんっ…」
怒ろうとした時、俺と翔の間に救急隊が割って入った
救「待った」
「何ですか」
救「この子は、1人の命を救ったんだよ」
「は？」
潤「1人の？」
雅「命を？」
和「救った？」
意味が分からなかったが、翔の体はびっしょり濡れていた
救「今日、事故があったんだ。この子が大人を呼んでくれたおかげで、皆助かったんだ」
助けた？小5の此奴が？
翔「ごめんなさい…」
泣きながら震える翔を見て…後悔した
話も聞かず怒って…馬鹿みたいだ
「何があったんだ？」
翔「か、帰ってる途中…」
聞かされた話は高校生の俺でも恐ろしかった
翔の服には血が少し着いていた
もし、事故に巻き込まれてたら…
俺は居た堪れなくなって、翔を抱きしめた
「ごめんっ…怖かったな」
雅「翔ちゃん、偉かったね」
和「すぐに行動出来て偉いね」
潤「怖かったな、でも…偉いぞ。翔」
翔「にぃ達…怒んないの？」
救「翔君。君は、ヒーローだよ」
翔「ヒーロー？俺が？」
救「あの女の子は、後数分遅れてたら助からなかった。でも、君が見様見真似でも、救ってくれた」
翔「やり方…合ってましたか？」
救「あってたよ。」
見様見真似で、助けたのか？
うちの学校は教師と高校生しかあの練習しない
それを小学生の翔が…
救「翔君、シャワー浴びておいで。寒いでしょ？」
翔「いや、ぼ、僕…帰ります。」
救「じゃ、この服貸してあげる」
翔「でもっ」
救「あの子が元気になったら返しに来て？」
翔「お兄さん名前は？」
救「朝日勇貴だよ」
思い出した…この人
母さん達を最後まで助けようとしてくれてた人だ
翔を泣きながら抱っこして出てきた
「あの時の…」
朝「智くん。大きくなったね」
「あ、はい…」
朝「そっか、あの時の子は翔君か」
翔「ん？」
朝「俺も歳をとったな」
翔「へ？」
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作者名：シュガーsweet | 作成日時：2021年4月22日 0時
