続・地獄の沙汰も貴方しだい【鬼灯の冷徹】

初旅 ページ44

あ「わぁ！鬼灯さん、素敵ですねー！」

鬼「A、あまりはしゃぐと転びますよ」


鬼灯は小さな子供のように、はしゃぐAを呼び止め

その右手を自分の左手で掴むと、しっかり指を絡めた

少し照れたような顔で微笑むAの手を引き、二人は京の街並みを歩きはじめる

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「、、って！、、、まって、くださいっ！」


しばらく街を散策していると

背後から呼び止める声と、走り寄る足音が聞こえ
二人の後ろで、ぴたりと止まる

振り返るとショートカットの若い女性が、膝に手を着きゼェゼェと荒い呼吸を繰り返していた


あ「大丈夫、ですか？」


あまりにも苦しそうな様子に、Aは女性の前にしゃがみこみ声を掛けた

Aと目が合った女性はジェスチャーで、ちょっと待つように伝えてから、二・三回深呼吸すると口を開いた


「はぁぁ、きっつ！久しぶりにこんなに走ったぁ、、
二人とも、さっきから声掛けても気付いてくれなくて」

あ「ごめんなさい！まさか私達を呼んでるとは思わなくって、、」

鬼「ところで、私達に何か？」

「そうそう、突然なんだけど、、お姉さん！うちのお店のモデルやってくださいっ！！」

あ「へっ！？私、が？？」

「そうです！是非！！というか、立ち話もあれなんで、お店で話しましょう！近いんでっ！」


ものすごく勢いのある女性に連れてこられたのは、写真屋とレンタル着物店が一緒になったような店だった


「いらっしゃいませ」


店の扉を開けると、セミロングの女性がにこやかに挨拶してきた

その顔は、ここに二人を連れて来たショートカットの女性と同じである


あ「えっ？双子？！」

「そう、びっくりした？一応私が妹！
そういえば、まだ自己紹介してませんでしたね。"鈴村 くるみ"です！ここでカメラマンやってます！」

鬼「もしかしてお姉さんの名前は、みるく、ですか？！」

「あははっ！少女漫画じゃないんですから！
姉は"杏子"です」

「ここで着付けとヘアメイクを担当しています」


双子の自己紹介が終わった後

Aは、妹のくるみから改めてモデルを頼まれた


く「私がずっと思い描いてた、このお店のモデルのイメージにお姉さんがぴったりなの！
私達を助けると思って、引き受けてくださいっ！」


このままでは土下座でもするのでは、というほどに頭を下げて頼まれ

Aは、どうしたものかと鬼灯の顔を見上げた

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