【呪術廻戦】 これは、君を想うまでの物語

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隠されていた左腕。その肩には花御の頭程もある大きな蕾が生え腕は黒く掌には穴が空いている。それを目視した瞬間、これまでとは比べ物にならない質量の木々の集合体が東堂と虎杖を襲った。河原から上空まで道を作るように伸ばされた密集は二人に向けて放たれたものだが両者共に攻撃を避けきり天に続く木々の上に五体満足で存在している。


「なんつー攻撃範囲！！」

「ビビるな！！その分強度と速度は低い！！」


刹那、二人の背後に木を通り抜けてやってきた花御が現れた。流石大地から生まれた呪い。自身を木と同化させて不意打ちを狙うことなどお茶の子さいさいという訳か。即座に球体の芽を指で弾き飛ばすが各々咄嗟に顔をそらし身をかがめることで回避する。攻撃の合間を縫うようにすぐさま同時に拳を叩き込む。

悠々と受ける筈もなく腕でガードするも無傷で済むとはいかなかった。


「(重い！！先刻の黒く光る打撃程ではないが各々が確実に私にダメージを与えるだけの威力がある！！)」

「東堂！！もっとタイミングを合わせよう！！」

「あぁ！！」


前触れも無く、大量の木々がかき消えた。足場にしていた東堂と虎杖は駆け出そうとした体勢のまま動揺に心を震わせる。呼吸を合わせて一度に畳み掛けることで更なる火力を引き出そうと思っていた。けれど、この状況では不可能。

落下し遠ざかる花御にさっきまで考えていた予想が塗り替えられるのを実感した。つまり、これは。







「(足場が！！)」

「(油断！！これだけの質量、実物に呪力を通し操っていると思っていた！！全て彼奴の呪力で具現化・顕現したモノ！！流石は特級！！)」


墜落する東堂と虎杖を見下ろす花御が踏みしめているのは木の鞠。どうやら刺突をする腹づもりのようだ。もう二人は余裕綽々でいられるような術師じゃない。確実に負傷を負わせ確実に葬る。言葉を吐き二本の鋭利な木を打ち出した。


「■■■■■■■■■■(大地の有難味を知るといい)」

「落下中に攻撃！！エグいな！！だが！！」

「「ブラザー！！」」


空中でそれぞれの足を重ねて同時に蹴ることでこの攻撃すら逃れてみせる。

先程の発言のようにタイミングを合わせていなければ出来ない芸当。戦闘の最中心を通わせブラザーと呼び合った彼らはこんなことなど容易いのだ。確実に当たるであろう場面構築で避けきった二人に思わず一驚が走る。


「！！」

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