【呪術廻戦】 これは、君を想うまでの物語

＊ ページ29

「俺は手を出さんぞ。虎杖、オマエが”黒閃(こくせん)”をキメるまでな！！」

「”黒閃”をキメられずオマエがどんな目に遭おうと、俺はオマエを見殺しにする！！」

「押忍！！」


東堂も、彼を信じている。必ず成し遂げられると。だからこそ待つ。為せるまで。例え虎杖がどれ程の負傷を負おうとも。戦闘の最中分かり合った親友が新しく生まれ変わって羽ばたけるのをこの目で見届けようと。虎杖と向かい合う花御はその視線を東堂へ向けていた。虎杖のことは知っている。だが東堂については何一つ知らない。それでも注視が向くのは。


「(宿儺の器と…なんだあの男は…？雰囲気があるが呪力の総量だけで言えば)」

「(絶対に私より弱い)」

「(だが謎の胆力(ふてぶてしさ)。余程の術式を持っているのか、現にこの私が下手に動けなかった。そして”コクセン”とは…？)」

「■■■■■■(さて…どう来る?)」


夏油と甚爾がいた時はその二人の存在感で攻撃を仕掛けることが出来なかった。二人がいなくなった後も隙を窺っていたが東堂がその動きを制した。彼は戦闘に乱入しないことは理解できた。話の内容で何らかの技を出そうと試みていることも。

木の鞠を生み出し様子を見る花御が喋った事実に虎杖は食いつく。会話が成立するならば、問いたいことが思考を掠めた。







「オマエ、話せるのか。一つ聞きたいことがある」

「＿＿＿オマエの仲間にツギハギヅラの人型呪霊はいるか？」


「■■■■■■■■■(…いる、と言ったら?)」


瞬間、湧き上がる感情そのままに水面に向けて拳を放つ。激しく噴き出す水飛沫に虎杖の姿がかき消える。掌大の石を二つ、幕のように視界を遮る水越しに投げつけた。その石は隠されている左腕に当たるがその程度では傷一つ付かずに跳ね返される。


「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■(軽率に距離を詰めない。そこは評価します)」


気配を悟り振り向いた先に接近した虎杖を視界に捉えた。即座に木の鞠から鋭い枝を射出。しかし、虎杖を貫くことは敵わなかった。当たる前に花御の懐に入り蹴りを叩き込んだからだ。予想以上の速度に刺突は間に合わなかった。軽い音を立て横腹、胸、肩、側頭部へ四度の蹴撃。衝撃に身体がブレる。


「(速い！！先程の少女以上の瞬発力！！)」

「■■■■■■■■■(だが威力はお粗末だ)」

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