【呪術廻戦】 これは、君を想うまでの物語

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観覧席、その壁に貼られていた11の呪符が一斉に赤く炎を上げ焼失した。反射的に全員が目を向ける。三輪を回収しようと立ち上がった歌姫が間近で起こった異変に声を上げた。呪符は京都校が青色、東京校が赤色に燃えることで祓われたと判断される。だが。


「団体戦(ゲーム)終了…？しかも全部東京校(あかいろ)！！」

「妙だな。烏たちが誰も…いや、見ていたよ。液晶をご覧」


話途中で言い直した冥冥の目には烏の視界を共有した映像が確かに見えていた。即座に誰しもが液晶を食い入るように見つめる。6ある液晶の内、1つ。そこには冷や汗を流し鬼気迫る表情の菜々子と美々子が何かメモ帳のようなものをすぐ傍で掲げている。


「菜々子と美々子じゃないか。メモに何か……特級呪霊、乱入！？」

「はぁ！？特級が来たってこと！？高専に！？」

「おい。未登録の呪力でも札は赤く燃える、っつーんだったよな？」

「GTGの生徒が祓ったって言いたい所だけど菜々子と美々子の様子からして」

「外部の人間、侵入者…。放った呪霊は2級までだ。特級ともなれば赤子の手をひねる程簡単だろうな」

「天元様の結界が機能してないってこと？」

「外部であろうと内部であろうと、不測の事態には変わるまい」

「(アレを祓ったとなるとそれなりの手練れ。…特級か)」








動揺する中、冷静に状況を分析して結論を出すのは流石歴戦の術師だろう。楽巌寺の思考には準1級呪霊が浮かんでいた。祓われたことは分かるようになっている。特級ともなれば赤子の手をひねる程簡単、それは準1級でも大差ない。現状は大体理解できた。ならばここに留まっている訳にはいかないと夜蛾が指示を出す。


「俺は天元様の所に。悟と傑、甚爾は楽巌寺学長と学生の保護を」

「冥はここで区画(エリア)内の学生の位置を特定。悟たちに逐一報告してくれ」

「委細承知。賞与、期待してますよ」


軽く手を振り応える冥冥は金次第であれば意外と融通が利く。そして彼女も”謎の美男美女”捜索依頼を受けたことが一度だけあった。だが正体は掴めず、それ以来”謎の美男美女”捜索依頼は引き受けないと明言したのである。はてさて一体何故か。


「ほらお爺ちゃん、散歩の時間ですよ！！昼ご飯はさっき食べたでしょ！！」

「悟。そんなことを言っている状況じゃないだろう」

「裏切られてやんの」

「ハァン！？」

「急ぎましょう」


無視。それが先決だ。

第41話　「命を懸けて、成し遂げろ」→←＊

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