【呪術廻戦】 これは、君を想うまでの物語

ただただ我が子の歩みを想った日 ページ1

初めての出産が双子だと知った時、貴方はどんな顔をしたのでしょう。初めての子供が力を持っていた時、貴方はどんな顔をしたのでしょう。




私は知っているわ。貴方も呪術を持ち合わせていないから、呪術界で汐深の名はとうに潰えていることを。

私は知っているわ。呪術界は過酷で劣悪で人を人とも思わない慣習という名の暴虐が行われていることを。

私は知っているわ。禪院家の遠い分家だから一般人である貴方も心を裂くような言葉を言われていたことを。




私も察しているわ。暮杷は千里眼だもの。呪力消費が大きい構築術式でも呪力量が多いことでカバーできている。そのポテンシャルは呪術師になればきっと活躍するのでしょうね。

私も察しているわ。Aも呪力量が多いけれど、陰影法術。禪院家相伝の十種影法術の下位互換だと言われている術式。

私も察しているわ。二人が見つかったら、Aを人質に暮杷に戦えと言ったら、千里眼を利用したら。




初めての出産が双子だと知った時、貴方はどんな顔をしたのでしょう。

ぼろぼろ涙を溢れさせてぐしゃぐしゃの顔で「僕たちの子供がいるんだね」と呟いたわね。

初めての子供が力を持っていた時、貴方はどんな顔をしたのでしょう。

一瞬息を止めた後吐き出すように笑って「二人の意思を尊重しよう」と零したわね。




本当は、本当は、呪術師なんてなってほしくないわ。愛する我が子だもの。泣いてほしくないわ。傷ついてほしくないわ。死んで、ほしくないわ。でも、二人がなりたいと言うのであれば笑顔で送り出しましょう。私たちが泣く姿なんか一切見せずに。


「生まれてきてくれてありがとう。暮杷、A」


僕のかわいいひな鳥たち。本当にその通りね。ずっと後ろをついてきて啄むようにご飯を食べて。誕生日を重ねるごとにふくふくした手足もまろい頬も、なくなって大きくなって。


「こーんなちっちゃかったのに、もう大きくなってお母さん感動だわ〜」








あぁ、成人式、見たかったなぁ、



≪これは、君を想うまでの物語 開幕≫

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