全力少女2 (ページ11)

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蘇る音色ページ11

「そのハープ…」

ふと、すばるくんが見た部屋の中央にある、でっかいハープ

存在感を放つソレは私の大切な友達の1つ

『おばあちゃんのやねん』

「そっ、かぁ…」

『ほんまはこの子も海外に行く予定やってんけど、どうしても手放したくなくてなぁ…』

3年前に末期の癌で亡くなったおばあちゃん

そのおばあちゃんが大切に弾いてたんがこのハープ

なんでも、結婚記念日におじいちゃんから貰ったらしい

小さい頃はこのハープの音を聞かな寝れんかったんやっけ

『でも海外に行った方が良かったよなぁ。毎日弾いてもらえるんやから』

「ほんならお前が弾いたらええやんけ」

『私が弾いてもな、音が全然ちゃうねん。おばあちゃんの方がもっと柔らかい音やった』

何年経っても思い出される柔らかい音

おばあちゃんの手から奏でられる優しい音

「弾いて」

『え？』

「お前の音好きやから、弾いて」

『でも…』

「………」

『…分かった』

私が逆らえんのをええ事に、このおっちゃんは……

『文句は受け付けんから』

「おう」

そう言うすばるくんは何故か私のベッドへ

寝かせろ、と……

まぁ、いいか

私が弾き始めたのはパッヘルベルの代表曲「カノン」

私がクラシックで1番好きな曲

ピアノでも、フルートでも、ギターでも、バイオリンでも

どんな楽器でもずっと練習してきた

だから自信はある

弾き始めて十数分後

今この部屋に響くのはハープの音色と小さな寝息……

…………寝息！？

慌ててベッドを見ると

『寝てる……』

おっちゃん、熟睡しました

すばるくんも寝てもうたし、地下のバーで飲もうかな……

部屋を出ようと扉を開けると

『わっ！まだ起きてたん？』

錦戸「おん…ごめん、邪魔した？」

『全然。…あ、ちょっと付き合ってぇや』

錦戸「えっ、なにぃ？」