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5.はじめての ページ6

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私は、イル兄に抱き抱えられ、ヘリコプターに乗り込む。



『イル兄、着くまでどれくらいかかるの?』

「今回は3時間くらいあれば着くよ。」



『さ、3時間!?』と私が驚いて口をポカンと開けると、イル兄にチョコレートを口の中に入れられた。

びっくりしたが、口の中に広がるカカオの香りに頬を緩ますと、びっくりとした心は幸せな心に変わっていった。

3時間の間、私はイル兄とトランプをしたり、ベンズナイフを見たりしていた。



「じゃあA、これは?」

『1762年の3型!これは刃のところに毒を塗るんだよね!』

「そうそう、よく覚えてたね。」



イル兄はそう言って、相変わらずの無表情のまま頭をぽんぽんとしてくれた。

へへんっ!家の本を読んで覚えてたんだぁ!

私が得意げにしていると、イル兄は立ち上がり、携帯を見る。



「A、着いたよ。」



そう言い手招きするイル兄に私が走って行くと、イル兄は私を抱き寄せ窓の外を見せてくれた。

窓の外は、ククルーマウンテンから豪勢な住宅街へと変わっていた。

私が、わぁっと声を上げると、イル兄はそんな私を再び抱き上げ、ヘリコプターの上から飛び降りた。

…え?トビオリタ?

私が考える暇もなく、顔に容赦なく風が当たる。



『ひゃぁぁぁぁ!』



そんな私に構う事なくイル兄と私は一つの家の屋根に向かって落ちて行く。

私は目を瞑り、ドォンという落ちた音と衝撃を待っているが、一向に来ない。

私がそぉっと目を開けると、もうそこは屋根の上で、イル兄が普通に立っていた。

私が驚いたと目を見開くと、イル兄は興味なさげにコツコツと家の中に入っていった。



『ねぇ、イル兄、どこ向かってるの?』

「寝室。あんまり話しかけないで。」



そうイル兄に言われてしまっては何も話せない。

私はぶすっとした顔のまま、イル兄の行く先だけを見つめる。

しばらくすると、曲がり角から人が出てきた。



「誰だおま…っ。」



イル兄はその人には目も向けずに赤い花を咲かせた。

……って、見栄え良くいっても殺したんだけどね。

私は初めて見る死体というものをツンツンとつついていると、イル兄に「汚いよ」と言われてしまった。

それからイル兄は数人を殺し、ようやく寝室に着いた。





(ねぇ、この死体から出ている血って綺麗だよね!)

(Aは根っからの暗殺者になりそうだね。)


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作者名:ふぃあろ・宮夢 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/uekukz/  
作成日時:2020年11月9日 21時

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