二つ目の日誌 ページ9
「わ、新しい洋服だ〜!」
部屋に入る私を見るなり「可愛い!」と、トレイシーが駆け寄って来る。
トレイシーも普段見るような服と違い、まるで赤ずきんの様な見た目をしている。
『トレイシーも可愛いね…!』
「ふふ、君の正式試合という事で少しお洒落してみました!」
衣装を見せつけるかのようにトレイシーは胸を張る。
小さく拍手をしていると部屋の奥から二人の男の人の声が聞こえて来た。
「…危機感が無い、負けて仕舞えば大怪我所か命にも関わるかもしれないと言うのに」
「まぁまぁ、ゲームの前くらいはしゃいでいても天は許してくれるさ」
トレイシーを避け奥を覗くと、其処には不機嫌そうなアンドルーと宥めようとするイライが居た。
どうやらアンドルーの方はゲーム前に私達がはしゃいでいるのが気に入らないらしい。
「まぁまぁアンドルーっ!君の救助には期待してるからね!」
トレイシーがにこやかに駆け寄りアンドルーの背中を叩く。
少し強過ぎたのかアンドルーは顔を少々顰めながらも「…あぁ、」とだけ頷いた。
平和(?)そうな二人を見てイライはほっと頰を緩ませる。
そして此方をくるりと向き軽く会釈をした。
「気にしないで、アンドルーは何時もあんな感じなんだ」
いつのまにか私の手を引き椅子へと向かいつつイライは言う。
通り過ぎ様、トレイシーにも座る様促す。
直後、頭の上に大きな影ができる。
「…うへ、今回のハンターは君かぁ…」
トレイシーが苦い顔を上へと向けている。
釣られて私も上を見ると其処には_
「うふふ、新しいサバイバーさんが気になって今回のゲームに参加できる様頼んで来ちゃったの!」
まるで、蜘蛛の様な姿の女性がいた。
『わーーーーっ!!?!?!?』
椅子から立ち上がる勢いで驚き叫ぶ私。
女性は私の反応に何処か嬉しそうな表情と仕草をする。
「紹介するね、彼女はヴィオレッタ。ハンターの一人なんだけど__
横でトレイシーが何か喋っているが恐怖でそれどころでは無い。
「あらら、怖がらせちゃったかしら?」
蜘蛛のように糸を使い目の前まで降りて来る。
今すぐに逃げ出したいがそんな事言ってられない。
「ね、アナタ名前は?」
『…A……です…』
思わず名乗るとヴィオレッタは満足そうに微笑み再び上がる。
「そう…うふふ、A、またゲームで会いましょう!」
そう言い残しヴィオレッタは消えた。
『…私、虫凄く苦手、なんだけど…』
部屋の空気が凍ったまま、ゲームが始まった。
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