見知らぬ荘園で。【第五人格】 (ページ4)

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最後のページページ4

最初からクライマックス、という言葉を聞いた事があるだろうか。
今まさに私がそうである。

「おやおや…普段見ないサバイバーがいると思いましたが…可愛らしいお嬢さんだったとは」

マーサに連れられよくわからない部屋に行き、椅子に座り紅茶を飲んでいたら突然眠くなり、気がついたら謎の教会におり、霧の中から現れたよくわからない仮面の紳士(?)に刃物で背中をやられ、このザマである。
だが霧の中から、でなんとなく想像がつく。だからこそ恐怖を覚えた。

『…切り裂きジャック…！』

「…ほう！私の名前を知っていましたか！」

知らない訳が無い。ロンドンを恐怖に陥れた霧の中から現れる殺人鬼。
母から借りた小説にも何度も出てきていた。
だがここはロンドンとはかなり離れている地域。
切り裂きジャックが何故ここにいるのかなどわからなかった。
だがそんな事はお構い無しに奴は笑う。

「すみませんねぇ、これも"ルール"でして。嗚呼でも、苦しまない様にしますので安心してください」

そういうと大きく左手を振り上げ______

「A！！！！！」

大きな銃声が響く。奴が苦しむ。銃声がした方を見遣るとそこには、

『…マーサさんっ！！』

気が付けば彼女に抱き付いていた。

「すまない、駆けつけるのが遅くなってしまって…」

一瞬申し訳なさそうにするも、すぐにまたいつもの真面目な表情に戻る。

「私はこいつを引きつける。Aはここから真っ直ぐ行った先にある小屋でラックに治療してもらうと良い」

『わ、わかりました…！！』

「…ヒーロー気取りですか？」

「いいや。だがヴィランでは無いさ」

一目散に走って行くと確かに小屋が見えた。背の傷がじくじくと傷んだがマーサの善意を無駄にする訳にはいかなかった。

「…良かった！無事だったんだね！」

ラックが手を振る。

「もう一人からの連絡でもうそろそろ最後の暗号機が修理できるって来たんだ、安心して」

背中にできた傷に消毒をしながらラックは言う。包帯を巻き終わる瞬間に耳をつんざく様なサイレンが響いた。

「…修理できたみたい、早く此処から出よう！」

そのまま手を引かれゲートに辿り着く。
そこにはロボットが立っており既にゲートは開かれていた。

『…これが、ゲームなんだ』

荘園への帰り道、私はそう呟いた。
ただ家に帰りたかっただけなのに、どうしてこうなってしまったのか。

『…帰らなきゃ、家に、早く…！』

そうして私の荘園生活は幕を開けてしまった。