最後のページ ページ26
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「トカゲさん、本当に紳士なら約束は守らなきゃダメなの」
板が割れる音が響く。
その間に庭師である彼女は事前に壊れ易くしていた椅子に手を掛け、物の見事なガラクタに仕立て上げた。
いつものニコニコ顔でガラクタに足を乗せる。
そんな彼女を見ながらルキノは軽く鼻で笑って見せた。
「何、其方の策士のお陰で狩人であるという事を思い出させてね。…全員捕まえる、それが私の目的だ」
「マルガレータさんはもう助からないの。…だから、Aとナワーブを逃して、エマも逃げて見せるの」
そう言ってエマはガラクタをルキノ目掛けて蹴り飛ばし、走り出した。
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ゲート目掛けて走る病院内。
ふと二階から呻き声が聞こえた様な気がした。
『…ナワーブ？』
「…よう、逃げられたみてェだな」
苦しそうな表情を見せていたナワーブ。
私が目に入ると心配させまいとしたのか笑みを浮かべた。
『酷い傷…、というか、どうして此処まで…！？』
「ん、あぁ…、あのサイレンの音が聞こえた時、こんな所で倒れてられねぇなって思ってな…」
そこの包帯を取ってくれ、と頼まれ、机の上から包帯と傷薬を回収する。
自分でどうにかしようとするナワーブを抑え、傷の酷い腕に包帯を巻き付ける。
『(エミリーさんから教わっておいて良かったな、)』
なんて少し形の崩れた包帯を見ながら思う。
『…そうだ、早くゲートから出なきゃ。エマが引きつけてくれてるから…！』
「…そうか、彼奴が…。…よし、一緒に走るぞ」
病院の出窓から身を乗り出し、ゲート目掛けて走り抜ける。
辺りはナワーブが警戒し、私がゲートを開ける。
『(後はエマがいれば…)』
完璧だった。
だが現実はうまくいかない。
頭上に影。
ぎり、と歯を噛み締め一瞬ゲートから手を離す。
「さて、後は君達だけだな」
なんて笑うルキノ。
ナワーブと私の表情が険しくなる。
『(エマは駄目、だったのか…)』
なんて油断した瞬間、ルキノがナイフを振り上げた。
『まず……ｯ』
「Aｯ！！！！」
横から聞こえる鈍い音。
ナワーブが包帯を巻いていない腕で攻撃を受ける。
痛みで顔を顰めながらも「ゲートを開けろ」と叫んだ。
我に返り、必死で最後の解読をする。
ガコン、
と音を立て、ゲートが開いて行く。
ナワーブの腕を引く。
背に刃物が掠った様な感覚。
だけど、そんな事も次の瞬間には忘れ、
私達は今回のゲームから、二人で脱出したのだった。
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