見知らぬ荘園で。【第五人格】 (ページ13)

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最後のページページ13

『…え、永遠に…？』

息つく間も無くヴィオレッタが手を振り上げる。

「まずいｯ！A逃げてｯ！！」

トレイシーに強く腕を引っ張られたと思ったら投げ飛ばされる。
後ろから悲痛な叫びが聞こえてくる。

『ｯ、トレイシー！！』

「…っ、おとう、さん…」

トレイシーが咄嗟に近くのロボットを盾にしたからか、本人は無事だったがロボットはただのガラクタと化してしまっていた。

「…くｯ、ボクの事はいい！早くアンドルー達の方に！！」

『…！』

反対方向までとにかく走った。
途中で何度かトレイシーを迎えに行こうと思ったけど。

手を振るイライとアンドルーが見える。

「君が無事で良かった、トレイシーなら僕が"彼女"に頼んである、早く逃げよう」

…まるで初めてのゲームの時と同じだ。
周りに助けてもらって、私は何もできない。
私にも、何か、力があれば。

「…」

「ん、どうかしたのかいアンドルー」

アンドルーがこちらに近寄り口を開く。

「後悔するくらいなら助けに行ったらどうだ。そもそもお前だけ誰も助けないのはおかしいと思っていたんだ」

そう言うと手に持っているスコップを渡して来る。

「使い方は…まぁ鈍器くらいにはなるだろう」

『…っ、ありがとう…！』

「…君、意外と優しいんだね？」

「うるさい」

教会で追い詰められていたトレイシーを見つけた私は直ぐに行動に出た。
アンドルーみたいに器用ではないけれど、それでも、"見様見真似"なら、私にだって…！！

『トレイシーｯ！！！！』

「A…！？…って、地面からっ！？」

「なっ……！？」

少しの距離ならば私にでも掘れる…！！
地面から出てきた私に驚き、ヴィオレッタが怯んでいる隙にトレイシーの手を引く。
窓枠を超えてゲートの方まで走る。

「A…なんで…」

『だって大切な仲間じゃない、トレイシー』

目を潤ませるトレイシー。
泣きじゃくっていて何を言ってるかわからないけど、感謝の言葉だというのはわかってなんだか嬉しい気分。
…こういうのも、悪くないな。
そうして二人で走っていると目の前に二人の待つゲートが。

『やった、帰れる…っ』

次の瞬間身体が宙に浮いた。

『…え？』

「あら、言った筈よ。此処に居て頂戴って」

身体が糸に包まれているのがわかった。

「Aｯ！！」

「うふふ、ごめんなさいねA？どうしても逃したくなかったの…」

その言葉を最後に、意識がぶつりと途絶えた。