きっと優しい人 ページ7
呼吸を整え、もう一度寝室に戻ると彼は電話中だった
「いやでも『なぁにぃ？にいちゃんのお言葉が聞けない訳ぇ？』だが彼女は『今こっちもまだ危ないからさァ、そっちに居させてもらえって』」
相手側がかなり大声で喋っているのか、丸聞こえだ
「でも危険だ『お前さえ見つかんなきゃだぁいじょぶだって。な？一回その子にかわってみろよ』うぅん･･･」
しぶしぶ彼がスマホを差し出してきた
受け取って耳に当てると少しちゃかしたような口調の人が出た
『もしもーし、俺そいつの兄ちゃんのおそ松って言いまぁす。カラちゃん匿ってくれてありがとねー。
で、悪いんだけどそいつのこと数日だか数週間だか預かって欲しい。ちょっとこっち立て込んでてそいつ迎えに行けないんだわ。
傷がある程度治ったら締め出してもらっていいからさ、どお？』
まぁ･･･あんまり家にいないし、治るまで使うくらいは構わない
カラちゃんと呼ばれた彼にスマホを返し『大丈夫です』とスマホに入力してみせると
「ほ、ほんとうにいいのか？･･･ありがとう」
と申し訳なさそうな顔をしたあと、電話に戻って少し話してから通話を終了させていた
「ふう･･･勝手な兄ですまない。自己紹介が遅れたな、俺はカラ松。職業とかはその･･･まだ伏せててもかまわないか？」
その問いに頷くと、ハッと何か思い出したようだ
「そうだっ、あの、路地裏にいた時突き飛ばしてしまったな･･･俺は女性になんてことを･･･まさにbadboy･･･怪我はないか？」
何だか言い方がちょっと痛いような気もしたが、特にこれと言って怪我はない
首をたてに振ると「そうか、よかった」と安心された
「少し無理矢理だが、ちょっとの間ここで世話になる。外には訳あって出られないが、俺にできることなら任せてくれ」
さっきの色気はどこに行ったんだろう、と思うほどのお兄さん感。
でもなんだかこの人の傍は凄く･･･安心する
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作者名：鈴木 | 作成日時：2017年10月13日 2時
