危ない人 ページ6
「う・・・んん・・・ここは・・・」
結局彼が目を覚ましたのは日が西に傾き、空が赤くなった頃だった
ゆっくり体を起こすとどこか傷が痛むのか顔をしかめた
「つつ・・・きみは・・・ここは・・・」
スマホの画面に『私は篠崎といいます。ここは私の家です、勝手につれてきてしまってごめんなさい。水をとってきますね』と打ち込み、目の前に出す
頷いたのを確認して水を汲みにいく
目が覚めたらもっと凶悪な顔になったりするのかと思ったら、全然そんなことはなかった
むしろ整った顔立ちで綺麗な人だな、と思えた
水を渡すと一気に飲み干して一息ついた
「ありがとう」と言いつつ空になったグラスを手渡された瞬間だった
「ダメじゃないか・・・名前も知らない男を家に上げて、寝床に寝かせるなんて・・・」
目の前に彼の顔があった
ビックリして動けない自分の腰に彼の腕が回る
そのまま引き寄せられ、彼のシャツの前が開きっぱなしだったせいで直に彼の肌に触れてしまう
「なぁ・・・きいてるか?」
彼の低くて滑らかな声が耳元で響く
顎を持ち上げられ、一層顔が近くなった
「ほら、食っちまうぞ」
口の端を持ち上げて笑う彼の顔が夕日に照らされた
心臓が一段と高く跳ねたのを感じ、
思わず手に持っていたグラスを落としてしまった
我に返り、手で彼の体を押しのけて震える指でスマホに『まだ、寝ていた方がいいです』と入力して
顔が見られず俯きながら画面を差し出した
「ふふ、いやすまない。少しからかいたくなったんだ、日本の女性はこういうの弱いだろう?でも、本当に見ず知らずの男を上がらせるのは危険だぞ」
含み笑いしながら言うが、説得力があり過ぎて困惑する
グラスを拾って逃げるようにキッチンへ向かった
まだ顔が熱い、心臓も早すぎるくらいに動いている
良い人なんだろうか・・・本当に危ない人なんじゃないか・・・?
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作者名:鈴木 | 作成日時:2017年10月13日 2時