全部、キミがよかった【R.Nagase】【G.Iwahashi】

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．虚ろな目で僕を見上げた君。

今にもこぼれ落ちそうな雫に僕が反射されていた。

「全部、廉がよかった。」

瞼を閉じてしまえば彼の頬を伝う無数の涙。

嗚呼、こんなにもキミを濡れさせてしまうなんて。

どうすればその涙を拭える？

目元に親指をやると彼の苦しみが胸の奥底にまで浸透してきた。

どうした、どうした俺。

彼の涙をこれ以上溢れさせてはいけない。

「はは。震えてる」

『玄樹っ…』

「…もうさ僕を普通にしてくれる廉は居ないんだよね」

頬に寄せた手に自分の手を重ねた玄樹。

ぎゅうっと握りしめて

「この手が僕をいい香りがする綺麗なところへ導いてもくれたし、知りたくもない暗いところにも連れてった。」

「……でもね、幸せだったよ」

こんなにも上手くいかんくなる事があるって知らんかった。

『なんやねんっ…。それっ…』

橙色の照明一つがこの空間を包み込んでいる。

どちらともなく抱き寄せ合い、ただ過ぎ行くこの瞬間に逆らうこともできずただ歩いて行くしかなかった。

『俺もっ……玄樹が、いいっ』

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前振り長くなりすみません。

※ BL小説です執筆状態：連載中