雨宿りしてほしい!【河上万斉】 ページ10
貴「ふられちゃったな」
偶然通り掛かった公園の東屋で、私は呟いた。
この「ふられた」というのは、2つの意味を持っている。
ひとつは、今、目の前でどしゃ降りになっている雨のこと。
もうひとつは、2年間付き合っていた彼に、別れを告げられてしまったこと。
バケツを引っくり返したかのように降る夏の雨。
一向にやむ気配がない。
ダッシュで帰った方がいいんじゃないかとも考え始めたとき、私と同じようにずぶ濡れの男の人が、東屋に入ってきた。
正直、ちょっと変な人だな、と思った。
この蒸し暑い中、コートを着ていて、晴れてもないのにサングラスをかけている。
派手なヘッドフォンからは、不思議な音楽が漏れ聴こえる。
おまけに三味線を背負っているのだ。
やっぱり、ダッシュで帰ろう、そう思ったとき、その男の人に声をかけられた。
万「何か悲しいことでもあったでござるか?」
貴「何ですか?」
私はそんなに悲しい顔をしていたのだろうか。
そう思って聞いてみると、意外な答えが返って来た。
万「お主の魂からビオラのような、上品で、しかし切ない、悲しい音がしたでござる」
本当に変な人だ。
魂の音?どういうことだろう。
困惑しながらも、私は帰るのを止めていた。
変な人だけど、結局言っていることは合ってるし、何故だか安心するのだ。
家に帰って、一人で泣くくらいなら、もう少し、この人と、ここで雨宿りをしていたい。
そう思っている自分が可笑しかった。
どれだけ寂しいんだよ。
思わず笑ってしまう。
男の人が、不思議そうにこっちを見た。
貴「すみません、何でもないです」
私が慌てて言うと、男の人がまた質問してきた。
万「雨、好きでござるか?」
貴「えっ?」
あまりにも突然過ぎて、考え込んでしまう。
今日みたいに降られても困るが、ずっと雨が降らないと、何だか物足りない。
私が考えていると、男の人が喋り始めた。
万「拙者は好きでござる。雨の音は聞いていて楽しい。叫びのように聞こえるときもあれば、歌のように聞こえるときもある」
貴「確かに、雨の音って、何だか安心します」
私は屋根や傘に落ちる雨の音が好きだ。
そう伝えると、男の人はふっと微笑んだ。
万「それに、夕立の後の空は、案外綺麗だったりするでござる」
サングラスの奥の目が優しいので、私も笑って返事をした。
貴「そうですね」
でも、
貴「今はもうちょっとだけ、降っていてほしいです」
もう少しだけ、彼と雨上がりの空を待っていたい、そう思った。
一番にしてほしい!【坂本辰馬】 紅葉桜さんリク→←お泊まり会してほしい!【神楽】
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ヤクルコを飲んでいる晋助
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アルジェント - 猫耳と猫尻尾が生えた時の相手キャラの反応をお願いします。 (3月11日 22時) (レス) @page5 id: 127faa16a0 (このIDを非表示/違反報告)
アルジェント - リクエストお願いできますか? 相手キャラが吸血鬼化したお願いします (3月11日 22時) (レス) id: 127faa16a0 (このIDを非表示/違反報告)
アルジェント - オッドアイがバレてみた お願いします (3月11日 22時) (レス) id: 127faa16a0 (このIDを非表示/違反報告)
万斉推し - リクエストよろしいですか?よろしかったら河上万斉で口移し書いてもらいたいです! (2022年3月31日 17時) (レス) id: 78f9a00831 (このIDを非表示/違反報告)
メランコリック - リクエスト失礼します。お泊まり会のやつを九兵衛で書いてもらえますか? (2021年1月7日 1時) (レス) id: 5e6606bd3c (このIDを非表示/違反報告)
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