蘭 ページ3
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ヴー ヴー ヴー
安定剤を飲んだ後は、決まって副作用が出る私。
なんとも言えない不快な気分に陥ってソファーで項垂れていたら、ふと携帯が鳴っていることに気がつく。
ディスプレイの表示を見れば【蘭】と表示されていた。
『(…どうしよ)』
出ないと家に来そうだと思ってとりあえず出る。
【…もしもし?】
【あ、A?…オマエ、もしかして具合悪い?】
【ううん】
蘭は変に勘がいい。「出なければよかった」とすぐに後悔した。
【どうしたの?】
【や、今から来ねーかなと思ったけど】
【今日は仕事溜まってるからやめとく】
そう言うものの、今一人でいるのはなんだか心細かった。
彼は本当にタイミングが良すぎる。
【ごめんね、また今度】
【ん〜】
そう言って、電話は終了した。
『…らん』
灰谷蘭と灰谷竜胆。
12年前の血のハロウィンと言われる抗争の時に、少しだけ顔を合わせただけだったが、六本木に住み始めてすぐに同じマンションだということに気がついた。
なんとなく、顔に見覚えがあって、あっちも何故か覚えていた。今プライベートでしっかり関わりを持っているのはこの2人だけ。
『…はあ』
重い溜息をついて、天井を見上げる。
ボーッとしていたら、ピンポーンと家のベルが鳴る。
『(蘭だ)』
すぐにそう思った。
玄関に行くのはこの上なく億劫だったが、鍵をこじ開けらる可能性があるから頑張って体を起こして玄関へ向かう。
「っと、無事?」
『…見ればわかるでしょ』
すぐに力が尽きて、体がふらつき、蘭の胸へと収まる。
せっかく来てくれたのに、私はあまりにも怠すぎて彼に可愛くない言葉を言う。
「ベッド行こうな〜」
そう言って私を軽々持ち上げて、蘭は寝室へと連れて行ってくれた。
『ありがとう…』
そうポツリと言えば「無理すんなよ」って頭を撫でてくれる彼に、全てを預けてしまいたくなる。
『(…もし、蘭と付き合えたら)』
たまに、ふとおもってしまう。
私のトラウマも、苦しい過去も全部塗り替えてくれるのは彼だけだった。
『今日、仕事は?』
「休み」
蘭と竜胆は2人ともホストをやっていて、綺麗な顔と惹きつけるカリスマ性でそれはそれは大人気。
「俺のことはいいから寝な」
『…うん』
「オマエが寝るまでいるから」
『……うん』
頭を優しく撫でてくれる蘭の手は、あったかかった。
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水原カノ(プロフ) - くろしばさん» 嬉しい限りです( ; ; )拙い文章ですが、番外編でもよろしくお願いします…!(*´꒳`*) (2022年2月9日 23時) (レス) id: e0da8650d9 (このIDを非表示/違反報告)
水原カノ(プロフ) - みきさん» そう言っていただけて嬉しいです…!まだ続きますがよろしくお願いします(*´-`) (2022年2月9日 23時) (レス) id: e0da8650d9 (このIDを非表示/違反報告)
くろしば(プロフ) - いつも楽しくワクドキ泣きもしながら読ませていただきました!番外編楽しみにしています!応援してます!頑張ってください! (2022年1月22日 22時) (レス) @page50 id: ba268ba5be (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 番外編楽しみにしてます!この作品めちゃ面白かったです!頑張ってください! (2022年1月22日 16時) (レス) @page50 id: 23779c598a (このIDを非表示/違反報告)
水原カノ(プロフ) - 茶子さん» 素敵なコメントありがとうございます(;_;) ティッシュの供給は間に合っていますでしょうか…?いつでもプレゼントします!(*´ω`*) (2022年1月15日 22時) (レス) id: e0da8650d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水原カノ | 作成日時:2021年12月23日 17時