◎ もう一度あなたと◆優しい時間◆ part 5【Sho.S】 (ページ4)

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164 . モヤモヤした気持ちページ4

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タクシーの中では運転手さんの手前

お互いにさっきのことには

触れずに帰って来た。

だけど、家についた途端

翔ちゃんが私に何か話したそうに

しているのがわかる。

私も気になるけど

聞かない方がいい事だってある…

誰にだって過去はあるんだし

翔ちゃんみたいにカッコいい人が

今まで何にもなかったわけがない。

あの時とっさに

「一緒に仕事した人でしょ？」

なんて言ったけど

翔ちゃんの名前を呼びすてで呼んだってことは

やっぱり、昔付き合ってた人だよね…。

それにしても、綺麗な人だったな…

あの人に比べたら

私なんか全然魅力ないし、まるで子供だよね。

楽しかった気分が落ち込んでいく。

自分が嫌な女になってしまった気がした。

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黙っていたら泣きそうになるから

とにかく身体を動かして

余計なことは考えないようにするのが一番だって

自分に言い聞かせてみる。

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「翔ちゃん、お風呂の用意できたよ」

『ん？A明日早いんだから
先に入っていいよ』

「あ…でもまだちょっとやる事あるし、
翔ちゃん先入って？」

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翔ちゃんがお風呂に入ってる間に

ちょっとだけ泣いたら

このモヤモヤした気持ちも

スッキリするかな…。

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翔ちゃんも彼女のこと大好きだったよね…。

彼女とどれくらい付き合ったの？

どうして別れたの？

……私より、彼女のことが好きだった？

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あー、私って最低だ…。

全く何考えてるんだろう…。

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ふと我に返ると翔ちゃんの視線を感じ

また、意味なくガスレンジなんか磨き出す私。

ああ…泣きそう。

翔ちゃんお願いだから早くお風呂に入ってよ

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私は涙で霞んで見えるガスレンジを

ギュッと下唇を噛みながら必死に磨いた。