◎ もう一度あなたと◆優しい時間◆ part 5【Sho.S】 (ページ5)

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165 . 一緒にいるから Sho side ページ5

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「翔ちゃん、お風呂の用意できたよ」

『ん？A明日早いんだから
先に入っていいよ』

「あ…でもまだちょっとやる事あるし、
翔ちゃん先入って？」

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帰って来てから

なぜか忙しなく動きまわるA。

さっきのこと気にならねーの？

それとも…

本当に仕事関係の人だと思ってるとか？

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まさか

俺もあいつとあんなふうに

再会するなんて思ってなかったよな…

ふと視線を上げるとAはキッチンで

何するわけでなくぼんやりとしてる。

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俺が見ていることにに気づいたのか

Aはまた動き出す。

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あー、やっぱ気にしてんのかな…。

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『ね、Aさっきの…』

「あ、私お風呂入って来るね」

『A、ちょっとだけ話し聞いて？』

「あの…お風呂入ってからでもいい？」

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目も合わせようとしないまま

俺の横をすり抜けようとするA。

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『ちょっ、待てってA』

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彼女の手首を掴むと

ようやく俺に顔を向けた。

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だけど

微細に寄った眉根は、

今にも泣き出しそうな表情を形作る。

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なんでそんな顔、するんだよ…

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途端に不安になって、

手首を掴んでいた手を離そうとした瞬間

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「翔ちゃん…」

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俺の胸の中に顔うずめて

まるで縋るような声音で俺に囁いた。

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「翔ちゃん…大好きだよ」

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俺の背中にギュッと回されたAの腕に

ほっと溜め息がもれた。

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『俺も、Aが誰よりも好きだよ』

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そう答えると彼女を包むようにして

ゆっくりと身体を揺らし続ける。

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『な、今夜は一緒に風呂入ろうか？』

「……」

『なんで、黙るの…』

「だって…」

『…いやなの？』

「いやじゃないよ…でもね？」

『ん？』

「泣いちゃいそうだから…」

『うん…、知ってる。
だから、一緒に入ろう？』

「……。」

『俺、Aをひとりで泣かせたくないから…一緒に入ろう？』

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もっと違う言葉で伝えたいのに

上手い言葉が見つからない…。

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『泣くなら、俺の側で泣いて…。ちゃんとAが泣き止むまで一緒にいるから』

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だから、そんな泣きそうな顔すんなよ…。

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俺は、そっと彼女を抱きしめた。