冥界の人類悪が往く、たられば話。【番外編】

◆もしも、拾われた先がポートマフィアならば2◆ ページ3

会議を終え、手元の書類にいくらかの文言を書き足すと、即座に部下にそれを渡す。
配属されて一週間程度だというのに、慣れたように部下は目を通し持ち場を離れていった。


「いつ見ても、A君の行動はシンプルで実に効率の良いものだ。見ていても文句のつけようが無いね。」

『お褒めに預かり光栄デス。』

腕を組んで此方を見る首領の瞳は此方の心象の隅々まで覗き込みたい様子だ。
FGOに居たとしたら混沌・悪といったところか。稀代の凶悪犯罪数学者を思い出させる。

まぁ、彼と異なる点と言えば、ぎっくり腰を起こすほどの年齢では無いことと、生粋のロリコン。という事だろうか。


「君の部下はその腕と、心意気に大いに感化されて今やどの部隊とも引けを取らない忠誠心がある人材の集まりだ。大変、期待しているよ。」

『えぇ。』


働かなければ、一歩違えば隣は死。という心情を部下もわかってくれているのだろうか。涙出てくる。出ないけど。




「A君は、特に、戦火になるとその手腕を大いに発揮するだろう。」

一人席を立ったAの後、不意に森が口を開く。

「それで、首領は許可したんです？」

「まぁ、それもあるけどね。」

先の戦況は森の見立てでは一度は負けに転がる所であった。

十面埋伏の計である。

相手の頭に一度は勝利を思わせて、総攻撃をしてきた相手部隊の指揮統制の穴をつく策略。

多少の損失はあれど、まともに張り合った方が損害は大きい。そう思ってのいつもの合理的な判断だ。

しかし、そんな思惑を超えてくる出来事があった。Aの乱入だ。

Aの乱入によって、森含むポートマフィアは多大な利益を得ることとなった。人的資源の損失は無に等しい。＋αの見返りは、軽く国の予算を超える。

加えて、Aの素性は何を洗っても真っ白。情報が無いのだ。


此処まで使える人材を易々野に放っては、いつ組織の寝首をかかれるか分かったものでは無い。
かといって、この存在を幽閉できる程の長期的資源は持ち合わせていない。



なれば近くに置いてしまうのが適切。という訳だ。

実際、マフィアには似つかわしくない部下と上司の関係を数百の面々全てに構築したのはAだ。それも、たった数日で。


恐ろしさを感じさせながらも、利用しない手はない。

それに意を唱えるものも数日足らずで、かの人の際に感嘆の息と敬意を漏らしているのだ。


ヤクザ上がりだと言われても納得してしまう、正に仁義の人。というのが首領の見解だ。

◆もしも、落ちた先がBEAST軸ならば◆(リク:メガネかけたお茶っ葉 様)→←◆もしも、拾われた先がポートマフィアならば◆

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す