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その物語の中盤で、オズヴァルト演じる令嬢は主人公の姿に心を打たれて主人公を虐める貴族を糾弾するようになるはずだった。のだが、打ち合わせ中などのヴィルとオズヴァルトの普段の掛け合いを見た脚本家が、途中で脚本を変えた。令嬢は婚約者にひたすらに恋をしていた。そして令嬢は途中で婚約者が悪事に加担していることに気付く。それを心の内に秘め、婚約者のことを守るために婚約者一家の悪事を暴こうとする主人公を手にかけようとする。しかし子供の企みなど杜撰で令嬢の悪事は明るみになる。激しく周囲に糾弾されながらも、令嬢は最後まで婚約者の悪事を隠し通した。そして薔薇園の手入れに使っていた農薬を紅茶に混ぜて自決した。遺書には婚約者を愛していたこと、婚約者が何者であったとしてもこれからも愛していること、叶うのならばたとえ地獄に落ちることになったとしてもその隣を歩かせて欲しいという願いを書き綴り、婚約者を失った貴族の少年は主人公との本格的な対立に発展する——と、改編された。そう改編したのが何を隠そう今ヴィルがクランクインしている映画の脚本を書いた男なのだ。

 この脚本改編は世間に大ヒットした。農薬で食道や胃壁を焼かれ散々苦しみ死んだはずの令嬢の顔がそれを度外視にするほどあまりにも儚げで愛した人を想う乙女の顔だったことと、今まで主人公に突っかかってきて嫌な印象しか無かった貴族の少年が婚約者を失ったことで取り乱し声を上げて泣く年相応の少年らしい様子が多くの視聴者の心を動かした。脚本で貴族の少年の立ち位置を、“悪事を悪い事だと教えてもらえず育った無垢な少年”と書き換えたのも功を奏した。ドラマは大成功。ネージュとヴィルは更に芸能界でその名を馳せることになった。そんな思い出のある脚本家のシナリオだからこそ映画の出演を決めたのに、監督が難ありで苛立っているらしい。

 過去のことをザッと回想しながら、オズヴァルトはひたすらヴィルの話に相槌を打った。オズヴァルトは途中で冷凍庫にしまっていたクッキーを取り出してヴィルに差し出した。多少胃になにか入った方が気持ちも落ち着くだろうというオズヴァルトなりの配慮だった。深夜であるためヴィルは嫌がるかと思ったが、クッキーがおからで作ったカロリーの低いものであったことから、数枚を手に取って食べてくれた。

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作者名:らっこ | 作成日時:2023年1月10日 20時

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