10(そのとき…1) ページ10
なんだか今日はぼんやりとする。
最近体調が悪いせいかもしれない。
けど、それを人に伝えようとは思わなかった。
伝えたら心配をかけてしまうし、迷惑がかかってしまう。
それならいつも通りに笑って過ごして、帰って早く寝たらいいかな。なんて、気楽にそう思っていた。
午後の体育の時間。今日はたまたま男女共に体育館での授業だった。
コートの準備が終わって、2チームにわかれる。
他のチームがやっている間、私達のチームはコートの端に座って話していた。
｢やっぱり私はリョウくんかな｣
｢ユウくんの方がかっこいいって！｣
男子がいるからなのかわからないけど、今日はそういう話らしい。
他の子が話しているのを聞きながら、私はちらりと彼の方を見た。
彼には最近、避けられている。何かしてしまったのなら謝りたい。
また、前みたいに話したい。
そう思っていると他のチームが終わったようで、私達の番になった。
早く行こうと思って、立ち上がったそのとき。
頭が締め付けられるように痛くなって、目の前が暗くなった。
ぐらりと重心が傾いて、私は床へ身体を打ちつけた。
周りの子達の悲鳴が聞こえる。
ぼんやりと見える視界には、皆が集まっていた。迷惑を、かけてしまった。
ごめんなさい。そう思ったと同時に意識が飛んだ。
意識が飛ぶ前に、彼の姿が見えた気がした。
気がつくと、暖かいものの中にいた。たぶん保健室のベッドだ。
迷惑をかけてしまった。後で謝らないと。
そう思いながら目を開けようとしたとき、声が聞こえた。
｢俺、気づいてたんだ｣
その言葉を聞いたとき、私は泣きそうになった。
笑顔でいれば誰にも気づかれない。誰も、傷つけたりなんかしない。そう思っていた。
けど、違った。
彼は私の体調が悪いことに気がついた。
そして、傷つけた。
謝るのは彼じゃない。私の方だ。
保健室へ行かなかった私の責任なんだから。
｢本当に、ごめんな｣
違う。謝らなくていい。
そう伝えたいのに、声が出せない。
｢やっぱり俺、戻るわ。またな｣
彼が立ち上がる音がした。
声は、まだ出てこない。早くしないと、彼が行ってしまう。
今を逃したら、ずっと話せない。
そんな気がした私は、彼の手を掴んだ。
｢ひな、た……？」
驚いている彼の目を見つめる。
こういうときどんな顔をすればいいのか、わからない。
けど、きっと今、私はいつもみたいに笑ってるんだろう。
｢話したいことが、あるの｣
私の彼の手を掴む力が強くなった気がした。
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甘茶バニラ(プロフ) - キンキングさん» コメントありがとうございます！本当に受かって良かった……！良い新年を迎えられそうです！そして、好きだと言ってくださってとっても嬉しいです！頑張ります！！本家様の御幸君のイメージを悪くしないよう、興味を持ってもらえるようこれからも頑張ります！ (2016年12月25日 22時) (
レス) id: 58dda532bb (このIDを非表示/違反報告)
キンキング - 受かって良かったですね！おめでとうございます。この小説とても好きです。頑張ってください。御幸君可愛いくて格好いいです。 (2016年12月23日 13時) (レス) id: 5282c6bdb5 (このIDを非表示/違反報告)
甘茶バニラ(プロフ) - スズみんさん» コメントありがとうございます！返すのが遅くなりすいません！そうですね。亮さんもなんだかんだで夢主ちゃんのこと大事に思ってますね。微笑ましい……()御幸くんの応援ありがとうございます！頑張ってくっつきますように！！更新頑張ります！ (2016年12月4日 11時) (レス) id: 58dda532bb (このIDを非表示/違反報告)
スズみん - 面白いです！亮さんも何だかんだ夢主ちゃんのこと好きなんだなって思いました。御幸くんがんばれ！次の更新も楽しみです！ (2016年10月20日 9時) (レス) id: 73a109ad5b (このIDを非表示/違反報告)
甘茶バニラ(プロフ) - 龍神さん» コメントありがとうございます！距離置いてても御幸は夢主ちゃん気になって目でおってるんですよ…全く素直になってほしいものです…() 更新頑張るのでよければ続きを楽しみにお待ちください！コメント本当にありがとうございました！ (2015年11月28日 18時) (レス) id: 49134330fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甘茶バニラ | 作成日時：2015年4月30日 7時
